『「分かりやすい表現」の技術』 藤沢晃治著 講談社ブルーバックス を読んだが分かりやすかった。
第1章で、町にあふれる分かりにくい矢印や、案内板、NTTの何度読んでも分からない通知書などの例を挙げて、どうしてそれが分かりにくいのか、どうすれば分かりやすくなるのかを解説してあるので、分かりやすい表現の大切さに気づかされる。 第2章では、分かるということの本質が、知識の構造化であることを解説してあるが、やや抽象的で難しい感じがした。しかし、次の章で論じられている分かりにくい表現の各論について読むときに、わかることの本質とは何かを書いたこの章を読み返すと、その各論の意味が明確になる。 第3章は各論だ、分かり難い表現が生まれる理由16項目について、具体例と改善例を示しながらその意義を解説してある。 第4章は、「分かりやすい表現」のルールブックだ。チェックリストの形式になっていて、自分が作成した案内文書をこのリストでチェックしていくことによって、自然に問題点が浮かび上がり「わかりやすい表現」に変えていくことができるようになっている。このルールブックのリストの順番は第3章に解説された16項目の順番と同じになっており、チェックリストの意義は第3章を読み返すことですぐに思い出すことができる。 つまり、「問題がどこにあるのかに焦点をあてる」、「問題の本質となる情報の構造は何かを考える」、「問題を適切な大きさの部分構造に分ける」、「そのおのおのについて対策をたて、実行する」という手順を辿ることで自然に問題と対策の「分かりやすさ」に到達してしまうのだ。 本書は分かりやすい表現をするための方法の解説だが、分かり難い情報に接したときの料理法にも使える。 知識の構造に気がつくことが「分かる」ということなのだ。
by tnomura9
| 2006-11-30 07:56
| 考えるということ
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