ブラックボックス読書法

システム分析でブラックボックスというのがある。中身の仕組みは分からないが、入力に対する出力の応答の特性だけを考えようというやり方だ。

これを読書にも応用してみよう。文書の段落をひとつのブラックボックスとみなし、その入力と出力だけを考えるというやり方だ。この際の入力とは段落の最初で提起される問題であり、出力とはその段落の結論だ。手元に『NHKまる得マガジン ここがポイント確定申告』 野口テル監修があるのでその5ページの文章を例にして実行してみよう。

納税は国民の義務です。税金を納めることによって、道路が整備されたり、社会保障が受けられたりと、生活が安全に保たれています。いい換えれば、税金は国民の共通会費といえるでしょう。
入力: 税金とは何か? 出力: 国民の共通会費


年が改まると、”確定申告”という言葉を耳にしたり、目にするようになってきます。
「確定申告は、基本的に自営業者がするもので、給与所得者(サラリーマンなど)は会社が代行して行ってくれているから関係ない」「会社で年末調整を行ったから、自分たちには関係ない」
はたしてそうでしょうか。昨年一年間、給与所得以外から、20万円を超える所得を得たことはありませんか?持っていた不動産を売ったりしていませんでしたか?この場合は、払わなければならない税金が出ていることも考えられます。
入力: 確定申告はサラリーマンには関係ないか? 出力: 税金をさらに払う場合がある。


また、家族の中で、病院にかかった人はいませんか?マイホームを購入して引越しをすませていませんか?故郷に住んでいる年老いたご両親に生活費の仕送りはしていませんか?これらも控除の対象になるかもしれません。”医療費控除” ”住宅ローン減税” という言葉は聞いたことがあると思います。しかし、申告しないと、控除も還付もされないのです。
入力: 税金が戻ってくることはないか? 出力: 申告しないと還付されない。

こうしてみると、段落というのは、質問に対する答えが出力されるブラックボックスであることが分かる。また、システム分析のアナロジーで行けば、異なった質問には異なった出力が得られる。つまり、関数なのだ。関数であれば、入力となる質問の集合は限定される、定義域である。また、現れる答えの範囲も限定される、値域だ。さらに、前の段落の出力が、次の段落の入力になっているときは、話がカスケードでつながっていく。文章といえどもひとつのシステムなのである。

また、質問に対する答えが得られるブラックボックスという観点から見ると、段落は一種のデータベースとも考えられる。クエリーをデータベースに発行すると、答えが検索されるのだ。データベースであれば、その内容を機械的にシステム的に調べることも出来るかもしれない。ひとつの文書をあらゆる観点から機械によって検討することが出来れば、契約書のトリックなどすぐに見つけることが出来るようになるだろう。

こういう文書情報処理の機械化は Google などに見られるように実際はものすごく進んでいるのかもしれない。身近に利用できるまでにはしばらく時間がかかるかもしれないが、文書からのデータの抽出や作成に、より多くの機械化が関与してくるようになるかもしれない。
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by tnomura9 | 2006-04-09 02:26 | 考えるということ | Comments(0)
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