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新型コロナウィルス肺炎と血管透過性亢進

中国の報告では、新型コロナウイルスの死亡者の剖検では病変は肺に集中し、他の臓器の障害は軽度だったそうだ。肺の炎症は、線維化は少なく、著名な浮腫の所見が見られたようだ。また、肺胞内に粘性の高い分泌物を認めたそうだが、これは肺の毛細血管からタンパク質のような分子量の大きな物質も漏出していたことを示している。

また、イタリアの報告では、80歳台の肺炎による死亡者の臨床経過では、感冒様症状から病院を受診するような発熱、倦怠感、咳嗽などの症状が発現するまでに4日、入院後死亡までに4日で発症から8日で死亡するということだった。感染症にしてはいくら何でも早すぎる。これも、全身的な炎症による内臓疾患と言うよりは、肺に集中した病変による呼吸不全が原因と考えることができる。

これらのことは、コロナウイルス肺炎の病態が、肺に集中していること、それも肺の浮腫が主体であることを示している。コロナウイルスによる何らかの直接的な影響で、肺の毛細血管の血管透過性が亢進することが呼吸障害の原因であるのではないかと思う。

したがって、コロナウイルス肺炎の治療の焦点は、肺の毛細血管の血管透過性をどのように抑制するかということになるだろう。ステロイドのパルス療法は効果が薄く、ステロイド吸入薬による局所投与が効果をあげているということだ。

血管透過性亢進を直接押さえ込む薬剤は残念ながら今のところない。キーワードとしては VEGF、ROBO4、アクアポリン、レニンアンギオテンシン系などがあるようだが、詳細は分からない。アルドステロン拮抗薬は肝臓がんの腹水に対して他の利尿薬とは一線を画す効果がある。コロナウイルスが細胞と接着するときに細胞の ACE2 と結合するとのことだが、アンギオテンシンをIからII に変換するアンギオテンシン変換酵素とは別物だ。いずれにしても、肺の毛細血管の透過性亢進がコロナウイルス肺炎の治療のターゲットとなるのは間違いないだろう。

by tnomura9 | 2020-03-26 07:15 | Comments(0)
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