領域と命題論理

領域 D が集合であれば、領域 D における命題は述語と命題のペア P(a) になる。また命題 P(a) の真理値は述語 P(x) と領域 D の要素のペアで一意的に決まる。

命題 P(a) と命題 Q(b) の複合命題の真理値については、P(a) の真理値と Q(b) の真理値の組み合わせで決まる。例えば含意については次の真理表で決定される。

P(a) Q(b) P(a)->Q(b)

T .. T .. ...T...
T .. F .. ...F...
F .. T .. ...T...
F .. F .. ...T...

領域 D においては P(a) や Q(b) は真か偽のどちらかの値を必ず取るから P(a)->Q(b) の真理値の場合も、それによって真か偽のどちらかの値をとる。たとえば P(a) = T, Q(b) = F のとき P(a)->Q(b) = F である。このように領域 D における命題については全て真理値はすべて決定している。

しかし、命題論理学の定理では論理式の命題は全て命題変数である。すなわち、命題変数 A は真の値も偽の値もとり得る。領域 D の命題と命題論理学の関係はどのようなものだろうか。

命題論理学の命題は真または偽の値をとり得る変数だ。つまり、領域 D の構造にかかわらず、命題論理学の定理は成り立つ。命題論理学の定理に領域 D の構造が関与するとすればそれは、述語 P(x) と要素 a からなる命題 P(a) が必ず真か偽の値をとるということである。

言い換えると、領域 D に命題論理が適用できる条件は、領域 D の命題 P(a) が必ず真または偽の値をとるということである。P(a) の真理値がパラドックスによる不定値となる場合は、領域 D に命題論理を適用することはできない。

また、領域 D の命題 P(a) と Q(a) に依存関係、たとえば P(a) が真なら Q(a) も真という関連性があったとしてもそれは命題論理の定理には影響しない。それらの真理値を単に定理の変数に代入するだけだからだ。

このように領域 D の命題に命題論理が適用される必要十分条件は、それらの命題が必ず真または偽の値のどちらかをとるということだ。


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by tnomura9 | 2018-03-01 12:54 | ラッセルのパラドックス | Comments(0)
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