素朴集合論のモデルを有向グラフとして記述してみた。
集合 U (universe) は関心のある要素と集合を集めた有限集合である。集合 U の要素/集合間には、所属関係 Ψ(x, y) という2項関係が定義される。Ψ(x, y) は集合 x が要素/集合 y を要素として含んでいることを示している。U の要素のうち要素をひとつも含まないものは純粋な個体である。 U の要素のうち集合はそれに属する要素/集合を含む。また集合に分類されるが要素を含まない空集合 φ は U の要素である。要素を含まないという点では、φ と一匹の犬のような集合ではない純粋の要素との区別がつかないが、φ = {null} というように空集合は null という要素のみを含むと考えると、空集合を集合と考えることができる。 null と同じように要素を含まない無限記号 ∞ も U の要素である。無限記号は無限集合の要素として含まれ、その集合が無限集合であることを表す。U はいつでも拡張可能であるが、拡張のある時点では常に有限集合であるので、その中に無限集合を含まない。無限記号を含む集合は、その集合が有限集合ではなく、U の拡張に伴って拡張される無限集合であることを示している。 集合 U の要素 a の外延とは Ψ(a, y) が真となるような y を集めた U の部分集合である。 集合 U の要素数は、集合 U の部分集合の数より少ないため、それらの全てを表すことはできない。集合と呼べるのは U の要素であって、その外延を持っているものだけである。U の部分集合であって、それを外延とする U の要素が存在しないものは、クラスとなる。 集合 U の要素は、内包的定義で集合 U の部分集合を定義できる。また、述語の排中律は、集合 U の要素につついて成立する。内包的定義で定義できる集合 U の部分集合は広義のクラスである。このうちそれを外延とする U の集合を持つものが集合であり、そのような U の要素を持たないものが狭義のクラスである。 集合 U には2項関係 Ψ(x,y) が定義されているため、自己言及 Ψ(x, x) 及び不動点が発生する。この性質のため、「自分を要素として含まない集合の集合」を集合 U の要素の中に求めることはできない。したがって、ラッセルのパラドックスは自然に排除される。 集合 U は有限集合であるが、いつでも拡張可能であるという性質と無限記号により、極限としての無限集合を扱うことができる。 このモデルの特徴は、あくまでも有限集合の範囲で議論が構築できること。集合とクラスの違いを明確に定義できること。ラッセルのパラドックスを排除し、排中律が成立すること。有限集合であるが、可能無限の立場から極限としての無限集合を扱うことができることなどだ。
by tnomura9
| 2016-05-27 06:40
| 考えるということ
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