ゲーデルの構成的集合は空集合 φ から初めて、ランクを一つ上がるごとに、現在のランクの集合を元にした集合を追加していく。
たとえばランク 0 の集合は φ だ。ランク 1 の集合はこれを作って {φ} を作ることができる。すでにある φ も含めてランク 1 以下の集合からなる集合 R(0) を考えると R(1) = {φ, {φ}} である。同様の手続きで R(2) = {φ, {φ}, {{φ}}, {φ, {φ}}}, R(3) = {φ, {φ}, {{φ}}, {{{φ}}}, {{φ, {φ}}, {φ, {φ}}, {φ, {{φ}}, {φ, {φ, {φ}}}, {{φ}, {{φ}}}, {{φ}, {{φ}, {φ, {φ}}}, {{{φ}}, {φ, {φ}}}, {φ, {φ}, {{φ}}}, {φ, {{φ}}, {φ, {φ}, {φ, {φ}}}, {φ, {{φ}}, {φ, {φ}}}, {{φ}, {{φ}}, {φ, {φ}}}, {φ, {φ}, {{φ}}, {φ, {φ}}}, R(4) = { .... }, ... とR(α) の数は2αで増えていく。また集合 A のべき集合を P(A) とすると、 R(α+1) = P(R(α)) である。 このように R(α) の要素の集合はランクを上がるごとに無限に増えていくが、しかしどのように α が増加したとしても R(α) の要素は有限集合である。ここまでのやり方では無限集合を作り出すことができない。 そこで、無限集合を定義するためにトリックが使われる。全ての自然数の集合 ω = {0, 1, 2, ..., } を自然数の無限大の次に来る数と考えて R(ω) を考えることにするのだ。つまり、0, 1, 2, ... , ω と考える。無限に存在する自然数を集めて集合を作れるかどうかは自然数をランクとする構成的手法では導きだせない。その手法で作られる集合は全て有限集合だからだ。したがって、ω が集合であると考える根拠はなく、そういうものとして考えましょうという公理であると考えるべきだ。つまり、ものの集まりは集合であるという公理のほかに、自然数全体のあつまりは集合であるという第2の公理が暗黙のうちに仮定される。 このωを使って R(ω) を考えると、R(ω) の要素の中にはめでたく、自然数の集合を始めとする無限集合が含まれることになる。それだけでなく、R(ω + 1)、R(ω + 2)、... と自然数の無限の地平を超えてさらに遠くに集合の世界を広げていくことができる。 このように「ものの集まりは集合というものである」という定義は、「自然数の全てもまた集合である」という無限集合の公理を得て、集合の概念が無限の要素を含む無限集合に拡張されることになる。 自分自身の部分集合と全単射を作ることができるという自然数の集合の不可解な性質は、有限集合には絶対にみられない。これは、自然数の集合という無限集合が有限集合を拡張するものとして新たな公理によって定められた約束事であるからではないか。
by tnomura9
| 2015-09-26 18:38
| 考えるということ
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