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中国と韓国の領有問題

中国が蘇岩礁(韓国名:離於島)という浅瀬の領有権を主張したため、韓国が反発している。日本に対し軍事行動をも辞さないと主張する両国が、領有権問題でどういう行動をとるのか興味深い。

竹島問題を報道したスペインの新聞が韓国よりの記事だったようだ。ジブラルタル海峡の領有権問題について、自国を韓国にたとえ、イギリスを日本にたとえて言及しているそうだ。日本と中国、韓国に限らず領土問題を表面化させるとあらゆるところで火の手が上がりかねない。日本も中国も国際社会に理非を問いかけると主張しているが、問いかけられる国際社会の方も迷惑だろう。

国境問題は本来、内密に、しかし、毅然として交渉を続けるということが原則なのだろう。今日の新聞の紙面からは尖閣問題や竹島問題が消えてしまったが、各国とも領土問題を再び水面下に戻したいというのが本音ではないだろうか。

しかし、国境を接する隣国との外交関係が簡単なものではないというのが今回の一連の事件で分かった。また、いつ武力衝突に発展するかもしれないという危うさや、政府の内部事情の都合でいつでも外交関係が豹変する可能性があること、友好的な交流の裏で反日教育を同時にやるというしたたかな二重性を両国が持っていることなど、いままで意識していなかったいろいろな事情が見えてきた。不安な気持ちになるが、それが本来の外交というものだろう。

中国や韓国は今更日本じゃないだろういう雰囲気のようだが、両国の今の発展に日本が重要な役割を果たしてきたことは間違いない。逆に言うと、その時々の目先の利益のために韓国や中国に技術移転してきた日本が愚かだったのかもしれない。しかし、現在の状況でも日本の企業が経営を安定化させるために、両国との交流をやめてしまうことはできないだろう。潜在的な敵国であるという認識をもちながら、合意できることは合意していかなければならない。

しかし、今回の事件で分かったことは、一方的に武力を行使される危険性に目をつぶってはいけないということだ。だが、日本は第2次世界対戦の教訓で、軍に頼りするぎることがどういう結果を生むかをよく知っている。軍事力が暴走しないようにコントロールしながら、同時に軍備を増強するという難しい舵取りが必要だ。

このことに関して日本が参考にすべきなのは、中国の墨子の戦略ではないだろうか。攻撃は最大の防御といわれるように、軍事行動では攻撃のほうが防御より有効な場合が多いが、墨子は徹底的な防御を主張し効果をあげていた。とかく批判にさらされやすい日本の専守防衛の考え方だが、この考え方の利点を徹底的に追求することによって、周辺国に不安を与えず、かつ、横暴な侵略は許さないという毅然とした態度をとることができるような気がする。

日本の安全保障は経済や、外交や、軍事力や情報活動全てを含んだ複雑な力関係で達成されている。日本のような小国は中国やアメリカのように力で押すということは不可能だ。知恵を振り絞って、その存在を守っていく必要がある。
by tnomura9 | 2012-09-29 07:55 | 話のネタ | Comments(0)
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