直感と論理

直感を述べるときにも「AだからBになるはずだ」という表現になるし、論理的に論証する時も「AだからBだ」という表現になる。「電気自動車の時代の鍵を握るのは、希土類と電池だ」というのは直感だし。「人間は死ぬからソクラテスも死ぬ」というのは論理だ。しかし、この二つは似て非なものだ。

直感的な思考の大きな特徴は、雑多な現象の中から本質的な要素を取り出して推論するということだ。病気の診断や犯罪捜査などで使われる手法だ。AならばBだという推論の形をとるがAが成立したとしてもBが成立するかどうかは保証されていない。

一方、論理の特徴はあらゆる可能性を検討しつくすということだ。論理的にAならばBだと言う場合は、暗にAであってBである場合、AでなくてBである場合、AであってBでない場合、AでなくてBでない場合を検討し尽している。そのため、Aが成立した場合Bが必ず成立することが保証される。

この二つの思考形態の本質をしっかり区別しておくことは、大切なことだ。論理的に整合することばかりを求めると木を見て森を見ない状態になり、理屈っぽい人になってしまう。逆に直感的な推論を論理と間違ってしまうと、Aが成立するのだからBは必ず成立するはずだと間違った結論に突っ走っていく危険が生じる。

システムを経営する人の場合、直感力に優れた人の方が適切な判断を下すことができる傾向にあるが、論理的思考のできる人を側に置いていないと、推論が誤っている場合をチェックできない。また、経営者が論理にこだわってしまうと決断ができなくなってしまう。

このように、直感と論理はお互いに補って機能している。
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by tnomura9 | 2009-10-21 07:45 | 考えるということ | Comments(0)
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