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「人間が進化できる唯一の方法」というブログ記事

CNET Japan の ブログの hisyamada さんの「人間が進化できる唯一の方法」という記事が面白かった。

現代の科学文明がなぜ古代に出現しなかったのかという考察に始まって、個人や文明の進化は目の前の問題を解決することによってしか起こらないことに気づいている。今まで、現場を知らないで判断や行動することの危険性を身にしみて味わってきたものの、なぜそうなるのかを的確に言うことができなかったが、この記事を読んでなるほどそうだと納得した。

たとえ普遍的な真理というものが永遠に存在しているとしても、自分がそれを知ることができるのは目の前の問題を解決するという実践を通じてでしかないのかもしれない。
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by tnomura9 | 2009-01-31 23:03 | 考えるということ | Comments(0)

主語に注目する

日本語は主語を明示しない言語だといわれることがあるが、参考書を読解するとき主語に下線を引いておくとよく分かることが多い。

たとえば、次の例文を見てみよう。(文中の下線は管理人による。)

 哺乳類の脳は、生物の恒常性や機能維持としての働きを司ることにより生命の維持にとって非常に重要な器官として機能するだけでなく、記憶や学習などに代表される高次神経機構の中枢として必要不可欠な役割を担っている。脳は膨大な数の細胞により複雑に構築された臓器であるが、その基本素子は神経細胞であり、それらのすべては神経上皮と呼ばれる神経外胚葉由来の層状構造物により生み出される。神経上皮層は神経上皮細胞(神経前駆細胞)により構成され、その細胞核が多相に積み重なっていることから偽上皮細胞と呼ばれる形態を持つ。

『シリーズ脳科学 脳の発生と発達』 甘利俊一監修 岡本仁編 東大出版会より

下線は、主語に引いてあるが、読み返すときに下線の部分を眺めるだけで、この文章が、「哺乳類の脳について」 -> 「脳の基本素子である神経細胞について」 -> 「その神経細胞を生み出す神経上皮について」 -> 「その神経上皮細胞の偽層状構造について」というふうに、議論の焦点がズームインしたりズームアウトしたししている様子を見て取ることができる。

文章を書くとき、書き手は、まず何に焦点をあてて書くのかを考えるだろう。その焦点となるものを表しているのが主語であるから、まず主語に注目することは、読み手の視線を書き手の視線に合わせることになり、それ以後の記述の内容を読解する準備ができる。

今までのマーキング法だと、主語に下線を引くことは少ないのではないだろうか。重要なキーワードは、「これは、~と呼ばれる。」というように述語の中に現れるからだ。しかし、このマーキング法だと、読み返した時に著者の視点が分かりにくくなるので、ばらばらな印象になり、そのキーワードが全体のどの位置にあるのかの位置づけができない。そのため、自分が引いた下線なのに、その意味が分からないという状況が発生してしまうのだ。

したがって、読み返すためのマーキングを著者の思考の流れを再現するようなやり方にすると、重要なキーワードのマーキングよりは逆に読み返した時に内容を想起しやすくなる。
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by tnomura9 | 2009-01-26 07:19 | 考えるということ | Comments(2)

枠組みで考える

文章の中身を取り払ってしまって枠組みで考えると、かえって内容をよく理解できることがある。

たとえば次のような文章の場合、

 腎臓とならび、肝での代謝と胆汁中への排泄は抗菌薬にとって主たる薬物の排泄経路であるが、その機構について明らかにされていない点が多い。また、肝障害時における抗菌薬投与法で現在確立されたものはない。

(『抗菌材使用のガイドライン』 日本感染症学会編より)

こういう文章もいきなりよむのではなく、

「あるものが重要だが、それに関係するあるものがない。また、それに関係する別のものもない。」と内容を無視して枠組みだけを取り出してみる。文章では分かりにくいが次のように図示すると、

あるものが重要だ、しかし、
 1)それに関してAがない(足りない)。
 2)それに関してBもない。

というような論理構造になっていることが分かる。こうして、論理の枠組みを先に調べた後、内容をその枠の中に収めていく。つまり、

肝臓は薬物を体外に出す重要な経路だ、しかし、
 1)そのメカニズムはよく分かっていない。
 2)肝臓に障害がある時の投薬のやり方で確立したものはない。

ということが書いてあったのだとわかる。

込み入った文章の時は、先に論理の枠組みを調べて、そのあとで内容をその枠組みの中に埋めていくというやり方をとるとよく分かることがある。
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by tnomura9 | 2009-01-22 17:54 | 考えるということ | Comments(2)

理解するためのマーキング

参考書を読んで理解するための下線の引き方を工夫していたら、従来の重要なキーワードに下線を引くやり方とは、マーキングの場所が少々異なっているのに気がついた。

従来の方法では、重要な用語や、ポイントとなる結論に下線を引いていた。しかし、そういう下線は読み返してみたときに下線の意味を忘れていることがよくあった。

理解するための下線の引き方は、こういう重要キーワードにはマーキングをしない。むしろその段落に書かれている内容を推測させるような、あるいは、質問を喚起するような箇所に下線を引く。結論よりも、問題提起のほうに下線を引いていく。さらに、接続語のようにそれ自身は論理の流れを示すだけで具体的な内容のないキーワードを丸で囲んで強調する。(丸印が目立ちすぎるので > を使ってみたが、結局、読み返した時丸印のほうが想起を助けるようだ。)

このやりかたは、文章の内容よりはその論理的な構造を浮き立たせるのが目的だ。中身より箱を重視しているのだ。文章に何が書かれているかより、何のために書かれているかを重視している。ところが、文章を再読するときには、こういうやり方のほうが内容を思い出しやすいのだ。従来のやり方が、連想の終着点をマークしていたのに対し、この方法では連想の起点をマークするためだ。

文章に盛り込まれた情報は千差万別だが、その情報を取り込むための枠組みは変わらない。生理学的にはそういう構造の分析は大脳の前頭前野で行われているらしい。連想の起点となる場所をマークしたり、接続語を強調するやり方は、こういう情報を処理するための枠組みを強調するので、読み返した時にわかりやすいと感じるのだろう。
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by tnomura9 | 2009-01-21 07:12 | 考えるということ | Comments(2)

下線引きでQ&Aを作る

参考書の文章の下線を引くときは、問題集の答えとなるような部分に引くのが普通だ、しかし、逆に、問いとなるような部分に下線を引くと、即席のQ&Aを作ることができる。

次の例文は、『自営業再考』 国民生活金融公庫相互研究所編 の 『カナダにおける自己雇用者とその支援策』 からとった。

 カナダにとって1990年代はその経済が大きく変貌を遂げた時期として特色付けられよう。
 90年代初頭にはマイナス成長を経験し、経済環境が厳しさを増していく状況にあったカナダ経済は、90年代末には成長率、失業率などからみて経済パフォーマンスは見違えるように改善した。一時は、深刻化した財政赤字もこの間に黒字化したことにより、財政改善の成功がよく知られている。しかし、同時にこの10年間に労働市場がその様相を著しく変えたことでも注目されなければならない。それは、自営業の顕著な増加である。厳しい雇用環境の中で、自営業者数の増加ベースは高まり、とりわけ自己雇用者の増加が90年代の自営業者増の主役となっていることは興味深い。

上の下線を引いたところから次のような問題を作ることができる。

1)1990年代はカナダの経済にとってどんな時代だったか。
2)1990年代初頭のカナダ経済の状況について述べよ。
3)1990年代末のカナダ経済の状況について述べよ。
4)1990年代の10年間でカナダの労働市場はどう変化したのかを述べよ。

参考書に下線を引くときは、QアンドAの質問となりそうな箇所の下線は -----------> のように下線の末尾に矢印をつけると質問であることがわかるようにできる。また、QアンドAの質問は、多くは文の主語に下線を引くと機械的にマークすることができる。

下線引きをすべて上のような方式にするのは無理があるが、質問の答えよりも質問を引き出す箇所に下線を引いたほうが、著者の考えの道筋を理解したり、読み返したときに自分の理解度を確認したりするのに便利なことがある。
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by tnomura9 | 2009-01-20 00:14 | 考えるということ | Comments(0)

助詞を活用する

重要なキーワードに下線を引くときは、きっちりキーワードだけに引くのが普通だろう。しかし、キーワードから少しはみ出して助詞まで引いておくと後で読み返すときに楽だ。

わたし」というふうにキーワードだけに下線を引くと、キーワードの文脈での位置がはっきりせず、漠然とした印象になる。ところが、下線を助詞にまで延ばして「わたしが」とか「わたしに」というように引くとキーワード「わたし」の文脈での位置づけまで分かるので、「わたしがどうしたのだろう?」、「わたしになにをしてほしいのだろう?」などと自然にその先への質問が湧いてくる。

つぎの例文は『自営業再考』 国民金融公庫総合研究所編からとった。

 雇用をめぐる環境は大きく変化した。雇用問題というと失業給付や再雇用促進などに目が向きがちであるが、もう少し視野を広げてみてはどうだろうか。既存の企業に頼らず、自らの就業機会を確保する自己雇用者の存在自体を評価すべき時期に来ているのである。
 事業の成長性や収益力といった評価軸でみると、彼らは必ずしも高く評価されないかもしれない。しかしそれは、いくつもある価値観の一つでしかない。自立して継続的に事業を営んでいる以上、成長性や収益性が必ずしも他と比べて高くないことだけをみて存在意義を否定するのは一面的な判断といえよう。
 見方を変え就業形態の選択肢の一つとして考えてみると、自己雇用者の中に新たな働き方の可能性を感じる人は多いはずである。彼らの存在が、今後のわが国経済に大きなインパクトを与える可能性は十分にあるのではないだろうか。

この文章で筆者は、自己雇用が成長性と収益性に劣るものの、他方で自己雇用者にそれを補って余りある利益をもたらし、さらに、雇用問題を考える上で国の経済全体にも大きな影響をもつ可能性があると主張している。

上の例で分かるように、「雇用問題というと」と助詞まで下線があったほうが、「雇用問題」とキーワードだけに下線を引いたときよりも、「雇用問題について今までは何が取り上げられていたのだろうか?」というような疑問が自然にわいてくるので、後の記事を読む心の準備ができる。助詞によってキーワードの文脈での位置の手がかりを得ることができるので、連想の方向性がわかりやすくなるからだ。

話は変わるが、上の例文で接続語の後に > を挿入してみた。接続語をすべて丸で囲ってしまうと読み返した時の印象が強すぎる気がしたからだ。接続語自体は論理の流れを表示するのみであまり強い意味は持たないので後ろに > を挿入するだけにしてみた。

文章の論理構造を見るのに接続詞、接続語は重要だ。これらに関しては何らかの形のマーキングが必須だ。文章を理解するときに、議論の論理構造が分かっていると理解しやすいと感じるからだ。

このように、キーワードに下線を引くときは、少し伸ばして助詞まで引いたほうが読み返すときに楽になるようだ。
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by tnomura9 | 2009-01-18 12:42 | 考えるということ | Comments(4)

目次と本文のスキーマ

議論が複数のブロックに分けられて述べられる場合、文章の先頭で目次的にブロックのタイトルを述べられていることが多い。

この場合、タイトルだけでは意味が掴み辛く、タイトルに下線を引いてしまうと同じ項目に本文でも下線を引いてしまうのであとで読み返すときに混乱することがある。

そこで、このような目次的なタイトルの羅列の時は、羅列されたキーワードを角括弧で囲んでみた。こうすると目次のブロックが浮き立ってくるので読み返すときに認識しやすく、あとの本文の構成が分かりやくすなる。

具体的には次のようにする。例文は『週刊エコノミスト』 1/13 2009 p.35 の記事だ。文中の角括弧、下線、太字は管理人が加えたものだ、太字は実際はその部分を丸で囲んで使っている。

A デフレとは、一般物価が持続的に下落する現象をいう。
 持続的な物価下落には、[①景気後退が複合して需要減少を伴う][②技術革新や生産性向上などから需要拡大を喚起する]----の2つのケースがある。
 これを需要曲線供給曲線で考えよう。
 ①は在庫調整や信用収縮によって、需要曲線が左下方向にシフトする状況であり、均衡点の移動 (E0-E3) で価格下落と生産量の減少が起きる。景気後退局面で起きる典型的なパターンである (図1)。一般に懸念されるデフレの概念はこの需要減少を伴うケースである。
 一方、②は供給曲線が右下方向にシフトし、均衡点の移動 (E0-E1) で価格は下落するが、生産量は増加する (図2)。近年、特にエレクトロニクス分野では技術革命や新製品開発のペースが速い。携帯電話や薄型テレビなどでは普及率の上昇とともに価格が下落するが、販売数量は増加する傾向が見られた。2001年の経済財政白書」は、こうした生産性上昇に伴う物価下落は、相対的な価格変化であり、一般物価の下落とは異なるという見解を示している。

こういうマーキングをしてみると、この文章が、「デフレの定義」、「価格下落の2つの機序の目録」、「個々の機序の詳説」という整然とした論理的な構成で述べられていることがわかる。

つまり、デフレとは

1)一般物価が持続的に下落することであり、
2)「需要減少」と「技術革新による生産向上」の2つの機序がある。
3)「需要減少」による価格低下は、生産性はそのままあるいは低下している状態で、需要が減少したためにおきる価格低下であり、起業の収益も減少する。
4)「生産向上」による価格低下は、技術革新により生産性が向上したために起きる価格低下で、価格は低下するが生産量は増加し、企業の収益は増加する。

という2つのメカニズムがあることが分かる。

参考書にマーキングするのは、後で読み返した時にわかりやすいようにするためなので、下線の種類を変えることによって、文章の論理構造をわかりやすく表示できるようにすることが大切だ。

余談だが、この記事では、「一時的な需要減少はいずれ先送りされた需要が発生するし、技術革新による価格下落はむしろ需要と企業の利益を増加させる。また、グローバル化による原材料のコスト低下や、実質購買力の向上も長期的には Win-Win の持続的成長パスが確立される。本当に問題なのは、不動産価格や株価が下落し、資産運用していた個人や企業に負債デフレが発生することだ」と解説してある。金融危機はマネーゲームによる気分的な架空の財産が消滅しただけだと思っていたが、金融危機によるデフレのほうが余計に深刻らしい。これからの、政府の金融政策には特別に注目しておく必要があるようだ。
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by tnomura9 | 2009-01-15 07:34 | 考えるということ | Comments(0)

接続詞で分ける

参考書を読むときに、接続詞を丸印で囲んで、文章の論理的構成を先に見ておくと、読むのが楽になる。

たとえば次の文章を読むときは、最初にスキミングをしながら接続詞を丸で囲んでいく、その時点ではまだ本文を読まない。例文では接続語を太字にした。

3) 長鎖アシルCoAシンターゼ(ACSL)
炭素数C10~C18の飽和脂肪酸およびC16~C20の不飽和脂肪酸を基質とするACSLは、生体内における脂肪酸代謝にきわめて重要な役割を担っており、ACSLによって生成される長鎖アシルCoAは多彩な機能を有している。ミトコンドリアではβ-酸化によるエネルギー産生、小胞体においては、トリグリセリドやリン脂質、コレステロールエステルの脂肪合成に利用される。さらに、脂肪酸生合成系のフィードバック阻害、細胞内タンパク質輸送の調節、PKC(プロテインキナーゼC)の活性化、転写因子のリガンドとして遺伝子発現調整など広範囲な生理活性機能を示す(図2)。近年、ACSLの特異的阻害剤であるTriacsin Cが脂肪酸によって誘導される膵臓β細胞のアポトーシスをブロックすることが報告され、肥満や糖尿病の分野でACSLの生理機能が注目されている。また他方では、脳視床下部・神経細胞内における長鎖アシルCoA濃度が高等動物の摂食行動をコントロールしている可能性も示されている。

藤野隆弘、山本徳夫:脂質研究:822-827, 2005 より

上の例で分かるように、マークしたのは接続詞ばかりでなく、文頭に現れた主語や代名詞、副詞も利用する。要するに中身を読まずに、何となく、ここで話題が変わるなと思った単語を丸で囲んでいくのだ。

上の例でいえば、文章の構成は、
1)ACLSの定義 --- 段落の最初の定義文
2)ミトコンドリア内でのACLSの生理作用 --- 「ミトコンドリアでは」で始まる
3)小胞体内でのACLSの生理作用 --- 「小胞体においては」で始まる
4)その他のACLSの生理作用 --- 「さらに」で始まる
5)Triacsin Cの話題 --- 「近年」で始まる
6)摂食行動への影響 --- 「また他方では」で始まる

というブロックに分けることができる。そのことを先につかんだ上で再度熟読すれば、どの部分がひとまとまりになっているのかが分かっているので読みやすく感じる。

また、接続詞を見ると話の内容が前後でどのように展開していくかがある程度予測できるので、文章の前後関係の連想がやりやすく、内容があとで想起しやすく感じる。連想の方向付けができるからだ。

文章をスキミングしながら、接続詞だけに丸印をつけるというマーキングの方法はお勧めだ。
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by tnomura9 | 2009-01-13 07:32 | 考えるということ | Comments(2)

定義と詳細のスキーマ

技術関係の文章は、最初に用語の定義を述べ、そのあとにその用語に関連する詳細を記述していることが多い。これを「定義と詳細のスキーマ」としていろいろな文献に適用すると読解が楽になる。

ちょっと長いが、『ダイナミックに新展開する脂質研究』 清水孝雄、新井洋由編 羊土社 の 『リゾリン脂質メディエータの産生機構』 青木淳賢、後藤牧子著 から引用する。文中の下線や、太字、カッコ数字は管理人が挿入したものだ。

はじめに
 リン脂質(ジアシルリン脂質)の2本のアシル基のうち一本を失ったものをD)リゾリン酸という。1)通常のジアシルリン酸は2本の脂肪酸に起因する強い疎水結合のために、特定のタンパク質の介助なしでは生体膜から容易に離れることができない。しかし、2)アシル基を1本しか持たないリゾリン脂質は容易に膜から離れ、ほかの膜へと移行することができる。したがってリゾリン脂質は細胞間(あるいは膜間)のシグナル伝達分子として機能しうる。一方、2)リゾリン脂質はその物理化学的性質から生体内膜に容易に突き刺さり、特に高濃度で界面活性作用による細胞膜障害作用を示す。そのため、古くからリゾリン脂質は細胞レベルでさまざまな細胞応答を引き起こすことが知られていたが、その作用は一部を除き特異性がないものと考えられ、あまり注目されていなかった。
 3)生体内には多くのリゾリン脂質が存在する(表1)。哺乳動物の血液中には約数100μMという高濃度のリゾフォスファチジルコリン(LPC)が存在する。また、さまざまな細胞内にはLPCやリゾフォスファチジルエタノールアミン(LPE)が容易に検出される(全脂質の数%程度)。しかし、これら比較的多量に存在するリゾリン脂質の意義は解明されていない。一方、4)生体内での存在量は少ないが、きわめて明確かつ強力な作用を示すリゾリン脂質群がある。スフィンゴシン1リン酸(SIP)、リゾフォスファチジン酸(LPA)、リゾフォスファチジルセリン(LPS)などである。また、5)化学構造的にはリゾリン脂質ではないが、リゾリン脂質様の構造をもつ血小板活性化因子(PAF)、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)、も強い生物活性を示す。6)これらのリゾリン脂質(SIP, LPA, LPS, PAF, 2-AG)は生体内に微量に存在するか、ほとんど検出されないが、必要時に産生され作用を発揮し、速やかに消去されるものと考えられ、リゾリン脂質性のメディエーターと呼ばれている。7)これらのリゾリン脂質性メディエーターはその作用が細胞膜の特異的受容体(Gタンパク質共役型受容体:GPCR)を介することが明らかにされている。最近、8)これらのGPCRのうちのいくつかに関してノックアウトマウスが作製され、これらのリゾリン脂質が個体レベルで重要な役割を持つことが明らかにされている。9)GPCRは創薬の格好のターゲットでありこれらのリゾリン脂質は近年特に注目を集めている。10)これはメタボライト一般に当てはまることであるが、脂質は遺伝子によって直接コードされないしたがって、11)リゾリン脂質メディエーターの生体内機能は、受容体や産生酵素を明らかにし、その発現、遺伝子改変動物などの解析を介して研究することになる。12)本稿ではPAFや2-AGも含めリゾリン脂質性メディエータの産生機構を概説する。

本文の最初に「リゾリン脂質」というキーワードに下線を引きその先頭にD)という記号を挿入してこのあたりにキーワードの定義が書かれていることを示している。つまり、「リゾリン脂質」とはリン脂質の2本のアシル基のうち一本を失ったものだ。この部分が「定義と詳細のスキーマ」の定義の部分にあたる。

後の部分は、このように定義された「リゾリン脂質」の性質についての詳細の記述になっている。その内容は、

1)この物質が比較的生体膜から遊離しやすくシグナル伝達分子として機能しうる。
2)しかし(一方という接続詞でこの物質があまり注目されていなかったことが分かる)、この物質がリゾリン脂質は非特異的に細胞膜を傷害するため特異的な生理作用はないと考えられていた。
3)生体内で多く存在するが(しかし)生理活性の不明なリゾリン脂質がある一方で(一方という接続詞で分かる)、4)少量しか存在しないが明確な生理作用のあるリゾリン脂質がある。
5)(また)化学構造は違うが作用的にリゾリン脂質と非常に似た物質がある。
6)これらは(これらのという指示後はその直前に述べた用語について詳しく説明する場合に使われるのでここで記述の内容が変わることが分かる)、非常に短時間作用し消失するのでリゾリン脂質性のメディエータと呼ばれている。
7)これらのリゾリン脂質メディエーターの受容体はGタンパク質共役型である。(これらのという指示後が出ると別の内容をのべていることをが推察される。)
8)これらのGPCRのノックアウトマウスが作成され生理作用が確認された。(このばあいの「これら」はGPCRをさす。)
9)GPCRは創薬のターゲットである。
10)(GPCRのリガンドである)メタボライトは遺伝子でコードされない。
11)したがって(したがってという接続詞で論理的結論を示す)、リゾリン脂質の生理作用は受容体や産生酵素を操作して調べることになる。

このように、リゾリン脂質の定義のあと、詳細が述べられるが、多くは分量が多くなるのでひとまとまりごとに連番を打っていくとよい。参考書に書き込むときは行間の空白にカッコつき数字を書き込む。

その際に、内容の区切りについては、指示後や接続後が重要な手掛かりとなる。これらの指示後や接続後を丸で囲んでおくと読み返すときに、詳細部分の論理的な構造が分かりやすいので便利だ。

とくに重要な部分には下線をひく。上の例でも分かるように内容の区切りと下線の位置は必ずしも一致しない。

上の例文のような文章の場合、最初にキーワードの定義を発見し、その後の詳細の記述ををその定義に照らしながら読んでいくと理解が楽になることが分かる。何について書いてあるのかという焦点を見失わないですむからだ。このような記述の形式を「定義と詳細のスキーマ」として特定しておくと便利だ。
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by tnomura9 | 2009-01-12 08:22 | 考えるということ | Comments(0)

学習法の要点

今まで、学習法と名の付くビジネス書はかなり読んできたと思う。それをヒントに自分なりに工夫もしてみた。しかし、最近になって学習法の要点は意外に単純だと思うようになってきた。学習法の要点は次の5つだけだ。

1.あまりに多くのものを一度に認識することはできない。
2.連想できない記憶は想起できない。
3.論理的な推論によって、複雑な事象を整理できる。
4.繰り返し学習することによって理解の質が変化する。
5.学んだことはすぐにアウトプットする。

あまりに多くのものを一度には認識できないというのは、人間のワーキングメモリがせいぜい7±2(マジカルナンバーセブン)だからだ。要素数が7を超えると認識すらできない。本を読んだあとわかったような分からないような気分になるのはそのためだ。章や段落の内容は、7つ以内の部分に分割して把握しておかないとその全体を見通せない。分割した部分についてさらに分割するという階層的な分割を行うことで、7つよりはるかに多い知識をものにすることができる。

連想できない記憶は想起できない。長期記憶を想起するのは連想の働きによる。また、連想が起こらなかったら膨大な長期記憶の中から必要な記憶を想起するのは不可能だ。忘却は記憶痕跡が失われるよりも記憶痕跡に至る連想の経路が失われることによって行われる。どうやれば効率的な連想ができるか日頃から工夫しておく必要がある。

論理的な推論は複雑な事象を整理して、要点を浮き上がらせることができる。たとえば、「3人の人がいて、ひとりは悪魔で必ず嘘をつく。ひとりは、天使でかならず本当のことをいう。ひとりは人間で本当のことも言うし嘘もつく。さて、三人がつぎのように言った時、誰が人間だろうか。『私は人間ではない』、『私は悪魔だ』、『私は天使だ』」というクイズにはどう答えたらよいだろうか。まず、天使も悪魔も自分のことについては、「私は天使だ」としか言えないことに注目すれば、「私は悪魔だ」といったのが人間だということがすぐにわかる。また、『私は天使だ』といったのは天使か悪魔だが、悪魔は「私は人間ではない」という本当のことは言わないので、「私は人間ではない」と言ったほうが天使で、「私は天使だ」と言ったのが悪魔になる。論理に習熟しておくのは要点をつかむのに大切だ。

繰り返し学習するのは、スポーツの練習と同じで学習も繰り返しによる習熟が期待されるからだ。知的作業の時も小脳が活動するという報告もあるそうだから、スポーツの練習と学習の距離はそう遠くないかもしれない。

学習するのはそれを何かに応用するためだ。学習してすぐにアウトプットすると理解していたと思っていたことでも、理解が浅かったり、必要な事項を漏らしていたりしているのが分かる。また、実験をしたり文章を作成していくうちに、最初に考えていたこととは違う視点でものを考えることができるようになったりする。

これらの5項目の意義さえつかんでおけば、あとは自分に合った方法を工夫すればいい。しかし、学習で一番大切なことは学習法を学習することではなく、やらなければならないことをやり、読まなければならない本を読むことだ。
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by tnomura9 | 2009-01-10 22:45 | 考えるということ | Comments(2)