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体温調節

動物の脳室にセロトニンを注入すると体温が上がり、ノルアドレナリンやドーパミンを注入すると体温が下がるそうだ。

体温調節の中枢は後部視床下部にあり、前部視床下部の温受容器と皮膚の冷受容器からの入力を受けている。しかし、セロトニンが何処に効いているのか調べたけれどはっきりしたことは分からなかった。

向精神薬やSSRIを投与したときの高熱はセロトニンとノルアドレナリンのバランスが崩れるために起こるのではないかと考えられている。
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by tnomura9 | 2005-07-28 12:47 | 脳の話 | Comments(0)

セロトニン症候群

抗鬱剤のSSRIとMAOIを併用したときなどにみられるセロトニン中毒症状をセロトニン症候群と言う。

精神状態の変化(錯乱、軽躁)、焦躁、ミオクローヌス、反射の亢進、発汗、悪寒、振戦、下痢、協調運動障害、発熱などがみられる。

セロトニンが増えると元気が出るといっても、「過ぎたるは及ばざるがごとし」なのだ。
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by tnomura9 | 2005-07-26 16:54 | 脳の話 | Comments(0)

含意

含意 AならばB と同値な表現を知っていると便利だ。
BでなければAではない

Aであって、かつ、Bではないことはない

Aではないか、または、Bである

同値ではないがつぎの表現も便利だ
Bであるからといって、必ずしもAではない

例えば「たばこを吸うと肺がんになる」という表現から、「肺がんにならなければタバコを吸っていない」、「タバコを吸っていて肺がんにならないということはない」、「タバコを吸っていないか、または、肺がんになる」、「肺がんになったからからといって必ずしもタバコを吸っているわけではない」という表現を作ることができる。何か変だという感じは、たばこを吸っている人が100%肺がんになるわけではないので、「たばこを吸うと肺がんになる」という文が厳密には含意ではないからだ。

「AならばBだ、ところがAである、だからBだ」という議論はよく見かけるが、意外に「AならばBだ」という主張が本当に妥当なのかの検討がされていないことが多い。注意する必要がある。
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by tnomura9 | 2005-07-26 07:39 | 考えるということ | Comments(0)

何が何だ

内容が複雑で読んでもすぐには理解できないような文章に出会ったときは、強制的に
何が何だ

という型の文に直してみると分かりやすくなることがある。主語+述語という型式は命題の最も基本的な型だからだ。
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by tnomura9 | 2005-07-25 12:07 | 考えるということ | Comments(0)

記号

言葉というものは不思議なものだ。

言葉は意味を運んでくれる。しかし、言葉自体には意味が無いのだ。それは、全く知らない外国語を聞いたり見たりしても意味を理解できないことを考えてみれば分かる。言葉は鍵穴に対する鍵のようなものだ。鍵は鍵穴に差し込まれて使われなければ効果があらわれない。言葉もそうで、言葉を聞いて理解する人間がいなければ、意味を伝達することが出来ないのだ。言葉単独では意味を持たないのだ。

ところが、自然界のものを見るといろいろなところで同じような現象を見つけることができる。例えば糖尿病で有名なインスリンだ。インスリン自体は数十個のアミノ酸がつながって出来たポリペプチドという物質である。インスリンがあってもそれ単独では何の変化も起きない。しかし、インスリンが人間の細胞の表面にあるインスリン受容体というものにくっつくと、グルコースを取り込む管のようなたんぱく質が細胞の表面の膜にたくさん現れたり、脂肪の合成が促進されたり、いろいろな化学反応が進行して、血糖が下がってくる。

このように、何かの意味を運んでいるが、解釈されなくては意味の作用が発揮されないものを記号という。記号というものを解釈されてはじめて意味を持つものと考えると、いろいろと面白いものが見えてくるが、ちょっとくたびれたので、別の機会にしよう。
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by tnomura9 | 2005-07-23 05:26 | 考えるということ | Comments(0)

幸せのニューロン

久恒辰博著 「幸せ脳」は自分でつくる 講談社α新書 によると、人間は幸せを感じるとき大脳辺縁系の帯状回前皮質が特に強く活動するそうだ。また、悲しい気持ちのときは帯状回後皮質が強く活動するらしい。

帯状回前皮質の第5層には特別大きなスピンドルニューロンという神経細胞があって、これが幸せのニューロンなのではないかということだ。

脳の活動の画像診断で注意しなければならないのは、SPECTやPETで活動が強いところでも本当にそこで幸せを感じているのかどうかは分からないということだ。これは、統計的に有意な相関があってもそれがそのまま直接の原因と断定することは出来ないということと同じだ。

しかし、脳の活動の画像化をしている研究者がALSで体も動かない、声も出ない人の脳をスキャンして意識があり、耳からの音に反応しており、外からの問いかけに脳の反応で返答しているのを見つけたという記事が朝日新聞に載っていた。さらに、その記事の中で、この研究者が脳の中を覗くことで個人のプライバシーまで覗いてしまうのではないかと思うときがあると言っていた。

脳の研究が進むことでより合理的に幸せになる方法も見つかってくるだろうが、心の中が読まれたり、心を操作されたりする危険性も発生してくるのではないだろうか。
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by tnomura9 | 2005-07-20 23:49 | 脳の話 | Comments(0)

自己組織化

管理人が学生の頃、これからの生物学のフロンティアは神経生理学と発生学ではないかと思っていた。

この両者に共通するキーワードは自己組織化だ。神経はその複雑な構造を自動的に作り上げる。受精卵も卵割を繰り返しながらひとりでに各部の器官を形成してくる。これらは、精密な設計図によるというよりも、細胞間の相互作用から生じる自己組織化によって進行していくのではないだろうか。自己組織化は数学的には複雑系として扱われているようだ。細胞相互の局所的な、非線形の相互作用が大域的な振る舞いにある規則性を発現する。フラクタルが生物や自然を模倣するように見えるのも、生物が実際そのようなやり方で形態形成しているのかもしれない。

ところで、コンピュータと脳の比較がときどきなされることがあるが、脳と似ているのはコンピュータのハードウェアではなくて、むしろソフトウェアの方ではないだろうか。

脳は基本的にはパターンを処理するフィルターだ。感覚刺激が入力で、筋肉の動きやホルモンの分泌などが出力になるが、それは最末端の話で、脳の内部では単に入力される電気信号や化学刺激を処理して軸索群からの出力パターンに変換しているだけなのだ。

ソフトウェアもそうだ。センサーからの入力やモーターやビデオ画面への出力があるかもしれないが、基本的にはビットデータの入力がビットデータの出力に変換されるだけなのだ。そう考えると神経で見られるような自己組織化がソフトウェアのプログラムにも導入できるかもしれない。

コンピュータのブログラムが複雑になるにつれ、扱うデータが変数から構造体、オブジェクトへと組織化されていく。その先にはデータ自体が自立性を持って相互に通信するという形態があるのではないだろうか。そうして、局所的なプログラム同士の相互作用を定義することによって全体としての大域的な組織化が自然に出来上がってくるというようなプログラムも可能になってくるかもしれない。そのようなプログラムは分散処理をするコンピュータと相性がよいし、デバックに費やされる労力が少なくなるのではないかと思う。

管理人の考えていることは、ライフゲームに似ているなと思って検索していたら、セルオートマトンの専門家のセルオートマトンと複雑系というページを見つけた。Javaプログラムのデモがあってブラウザでそのまま見ることが出来る。(7月24日)
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by tnomura9 | 2005-07-20 03:41 | 脳の話 | Comments(0)

やせ薬

セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み抑制剤は体重減少効果があるそうだ。

最初抗うつ剤として開発されたが、そちらのほうの効果は無く体重が減少したので、効能を体重減少に切り替えて開発したらしい。脳内の細胞外セロトニンとノルアドレナリンを上昇させることによって満腹感を亢進させ、また内臓脂肪を減少させる効果がある。副作用としては血圧上昇が見られるので、高血圧を合併している肥満の人は注意が必要だ。

欧米では既に販売されているようだが、日本では認められていない。

そのほかにも、いろいろなメカニズムで食欲を抑えたり、基礎代謝を亢進させる薬が目白押しで開発中らしい。効果があって、副作用の無い夢の痩せ薬が、普通に販売される日も間近なのではないだろうか。

しかし、皆が皆ナイスバディになってしまったら、面白くない気もする。
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by tnomura9 | 2005-07-18 07:12 | 脳の話 | Comments(0)

おふた

明治8年7月のある日、浅草の三社祭から帰った「おふた」という芸者が往来に近い縁端で湯巻姿になって肌をさらしながら涼んでいたところを、通りがかった警官に違式違反で拘引された。

芹沢一也著「狂気と犯罪」によると、幕末から明治にかけて庶民は普通に裸だったらしい。汗をかく仕事のときはほとんど全裸の状態だったし、風呂屋の扉は開けっ放しで、風呂上りはフリチンで着物は手に持って帰っていた。女性のほうも涼んだり、洗濯するときは当たり前に肌脱ぎになっていたのだ。

しかし、来日した外国人には非常に奇異に見えたらしく、日本政府は社会から裸を追放しようと法律を作って取り締まったらしい。同書には東京府が裸体を禁じた政令の引用がある。

同府下賤民ども、衣類着ず裸体にて稼方いたし、あるいは湯屋へ出入り候う者も間々これあり。

右は一般の風習にて御国人はさほど相軽く申さず候えども、外国においては甚だこれいやしみ候より、めいめい大いなる恥辱と相こころえ我が肌を露し候うことは一切これ無くよし。しかるに外国御交際追々盛んに相なり、府下の儀は、わけて外国人の往来もしげく候ところ、右様見苦しき風習このまま差置き候うては、御国体にも相かかわり候うにつき、自今賤民たりとも決して裸体相ならず候う状、稼方につき衣類着し不便の者は、半纏または股引腹掛の内相用い、全身を顕わさずようきっと相慎み申すべし。


威張った書き方だが、裸は一般的なことだけどと断ったり、仕事で不便だろうけれどせめて半纏か腹掛けをしてくれと頼んだり、書いた人の人柄が偲ばれる。

外国人はびっくりしただろうが、ほとんど裸で生活していたご先祖様のおおらかさが嬉しい。博士だろうが大臣だろうが裸になりゃ一緒じゃないかというような、日本的民主主義が感じられるような気がする。世界で一番共産主義なのは日本だそうだが、こういうところに根っこがあるとしたら面白い。


湯巻というのが分からないので調べたら腰巻のことだった。湯巻を検索していたら銭湯についての記事を見つけた。面白かった。水の話 特集風呂
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by tnomura9 | 2005-07-16 08:10 | 話のネタ | Comments(0)

チューリングの斑点

日経サイエンス8月号に、自己組織化する視覚チップの話が載っていた。この視覚チップを、人工網膜チップと結合すると、大脳皮質と同じような方位選択性ニューロンのカラム構造が自動的に発生する。そのメカニズムにチューリング機械で有名なチューリングの拡散波の理論を利用していると書いてあった。

そこで、「チューリング 斑点」で検索してみると、沢山出てきた。どうもチューリングの理論は、生物学や、発生学や、ナノテクノロジーなどで今盛んに研究されているらしい。

チューリングが何について理論を立てたのかと言うと、牛の斑点や、シマウマや熱帯魚の縞模様がどういう風にできるのかを説明する理論なのである。それによると、細砲どうしが化学物質をやりとりすることによる単純な相互作用が原因で、ひとりでに牛の体の斑点のような複雑な模様ができてしまうらしいのだ。

チューリングは1956年の論文で、生物の縞模様が、細胞から分泌される、発色反応の活性因子と、抑制因子の伝達速度の違いがあると、拡散する化学物質の波が発生し、それによる定常波によって安定に斑点や縞模様ができると述べた。縞模様は最初の細胞の特性の不均一性と、活性因子と抑制因子のバランスによって変化する。

チューリングの理論は次のような仮定からなっている。(www.nanoelectornics.jpより)

いくつかの隣接した細胞では物質の交換がある(拡散)。
それぞれの細胞では化学反応が進行している。
化学反応では活性因子(activator)Xの関与する正のフィードバック機構と、抑制因子(inhibitor)Yの関与する負のフィードバック機構が存在している。
抑制因子は活性因子よりも速く拡散する。

そうしてその相互作用は次の微分方程式で記述できる。

∂X/∂t = f (X,Y) + Dx2X

∂Y/∂t = g (X,Y) + Dy2Y


非線形なので解を求めるのは難しいがコンピュータシミュレーションすることができる。

ひょっとしたらチューリングの方程式は神経回路の動作機構のセントラルドグマなのかもしれない。大脳皮質は人間の脳の体積のほとんどを占めているが、その6層構造は驚く程均一だ。したがって、そのメカニズムも基本的には非常に単純な可能性がある。それが拡散波の理論だとしたら脳の機構の解明と応用が以外に早く実現するかもしれない。
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by tnomura9 | 2005-07-13 08:00 | 脳の話 | Comments(0)