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詰将棋と再帰性

三手詰の問題が楽に解けるようになったら、七手詰の問題が解けるようになった。

今まで五手詰の問題も解けないので詰将棋には近づかないようにしていたので不思議な気がする。しかし、よく考えてみると、五手詰の問題も攻めの初手と受けの2手目が適切なら、そのあとは三手詰めの問題になってしまう。三手詰めの問題も最初の2手が分かれば、後は一手詰めだ。詰将棋には七手詰->五手詰->三手詰->一手詰という再帰性があるのだ。

詰将棋は王手とその受けという具合に指し手が進んでいくので、初手とその受けの変化はそれほど多くはない。したがって、五手詰めの場合いくつかの初手とその受けの可能性を調べれば、三手詰めの問題に持っていくことができる。したがって、三手詰が簡単に解けるくらいの詰めのパターンを知っていれば、五手詰の問題を解くことはそう難しいことではない。また、七手詰なら、三手詰の問題に還元するために検討する手の種類は2段階だからがんばればなんとか解答までこぎつけることは可能だ。もちろん五手詰めのパターンに習熟していれば七手詰めも簡単に見えるだろう。

この論法でいくと、九手詰以上の詰めも、初手を選ぶことによって一ランク下の詰めの問題に還元することで解いているような気がする。そのためには、もちろん七手詰めが直観的に解けるくらいの詰将棋のパターンを蓄積している必要があるだろうが。

このように詰将棋を解くコツは、どれだけ一ランク下の詰めのパターンを蓄えているかということになるだろうが、もうひとつ重要な要件がある。それは、盤面の駒を動かした時の盤の視覚的イメージをどれだけ正確に頭の中に再現できるかということだ。盤面のイメージが、問題図や、手を動かす前の駒の配置の干渉を受けると読みを間違えてしまう。このイメージ力は何度も問題を解くことで培われていくのだろう。手数の多い詰めは実際に駒を並べてみることが勧められているのはそのためだろう。

この抽象的な問題を視覚的なイメージとして脳の中にモデル化してそれを操作するという精神作業は何も将棋に限って見られるわけではない。アインシュタインの思考実験は、まさに、そのモデル化に他ならない。思考実験というとアインシュタインのような物理学者だけが行える特殊なものだと考えやすいが、我々のような平凡な頭でも普通に行っているものなのだ。

そうであれば、三手詰の問題を解くときに問題図がただの図形に見えていたのに、駒を一つでも動かすと駒の配置が生き生きと見えたのも納得できる。駒の動きを考えだしたとたんに、問題図の駒の配置が頭のなかの将棋盤のモデルに写し替えられていたからだ。

こう考えてくると、管理人がなぜ高校の時に数学に苦戦していたかが分かる。数学の問題を視覚的なイメージに置き換えることを知らなかったからだ。数学の問題を視覚的なモデルとして頭の中に作り、それを操作するという方法に気づかなかったためだ。惜しいことをした。タイムマシンがあったら昔の自分に教えてやりたいくらいだ。
by tnomura9 | 2009-07-08 04:19 | 考えるということ | Comments(4)
Commented by のぶし at 2009-07-08 19:18 x
将棋と囲碁の違いはあるけど以下のサイトはよくまとまっていますよ。
ttp://www.igosoft.co.jp/ges/sozosei.htm
Commented by tnomura9 at 2009-07-09 11:57 x
のぶしさん、コメントありがとうございました。
教えていただいたサイトにアクセスしました。創造的な仕事に携われる人は多くはないでしょうが、そういう仕事のできる人は本当に幸せだと思います。私も生まれ変われたらそういう仕事がしたいです。
Commented by のぶし at 2009-07-09 18:09 x
私も創造的仕事を扱える人はうらやましいと思います。
私は短期記憶が苦手なので、脳のシステム的に克服できないか考え中なのですが、この行為がシステムの上流設計と基本的に同じなんですね。
直接的に金にはなりませんが気分だけ上流設計を味わってます^^
Commented by tnomura9 at 2009-07-12 01:19
のぶしさん、コメントありがとうございました。
自分の脳のプログラムの改造は私も興味があります。自分の脳だから気兼ねはいらないし、ああでもないこうでもないと工夫するのは楽しいですね。
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