解析幾何で直線と点の距離の求め方が分からないと子供に聞かれたので、直線 ax + by + c = 0 の定数 a, b, c の意味は何を表しているのかと聞いたら、答えられなかった。
そこで、原点を通り傾き1の直線の方程式からはじめて、直線の傾きを変えたり、上下左右に平行移動させたり、二点を通る直線の方程式を求めたり、実際の数値を使った問題を数問させて、それを上のような標準形に変形して見せたら、なんとなく理解できたのか、無事に一点を通り、他の直線に垂直な直線の方程式を得ることができた。 数学が分からないという子は、数式の意味を考えずに、式の変形だけでむやみに試行錯誤していることが多い。こんな時に、実例をいくつも使って数式の意味を分からせて、それを、自分の言葉で日本語で表現させるようにすると理解してくれる。 式の変形という計算は、確かに統語論的な操作で行うことができるが、しかし、数式の持っている意味を考えるようにしないときちんと理解できないし応用もできない。式の意味論が大切な所以だ。 それでは、数式の意味とは何かというと、これは、さまざまな実際の図形の共通部分を抽象したものだ。したがって、さまざまな実際の図形について検討しないと、その本当の意味を伝えることができない。さまざまな実際の図形を提示してやることによって、頭の中で、その共通の性質を直感するのを待たなければならない。抽象的な概念を直接に伝達する方法はない。ただ、生徒の頭の中にそれが形成されるのを手伝うことができるだけなのだ。 抽象概念を直接に伝える方法が本質的にないのが、子供を教えるときの大きな障害になる。しかし、具体例の性質の抽象という抽象概念の本質を考えて、さまざまな具体例をたくさん提示し、それらに共通する性質にはどのようなものがあるか子供に尋ねることで、抽象概念がその子の頭の中に形成される手助けを効率的に行えるのではないだろうか。
by tnomura9
| 2009-06-15 06:48
| 考えるということ
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Comments(2)
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