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計算術

下一桁が5の二桁の数の二乗は簡単に暗算ができる。たとえば75の二乗は5625だ。

どうやって計算するかというと、二桁目の数字とそれに1を足した数の積を書き、そのあとに一桁の数5の二乗25を書き加えるだけだ。上の例でいけば、7×(7+1)=56 の後ろに 25 を書いて、5625 が答えになる。

なぜこうなるかは、中学校の時に習った二乗の公式で十分説明できる。(a + b)^2 = a^2 + 2ab + b^2 というあれだ。上の計算法はそのうちの一桁の数が5という特殊な場合になる。いま二桁の数が a で一桁の数が5である数を考えてみよう。それは、10a + 5 で表すことができる。これを先ほどの公式に当てはめると、次のようになる。

(10a + 5)^2
= (10a)^2 + 2 * (10a) * 5 + 5^2
= 100a^2 + 100a + 25
= 100(a + 1)a + 25

したがって (a+1)a は100倍されるので25とはかぶらない。そこで3ケタ以上と25を並べるだけで答えになるのだ。同じような発想で、一桁の数字が合わせて10になる数も簡単に計算できる。たとえば 22 * 28 = 616 だ。

二桁の掛け算という具体例を抽象化して文字式の公式にすることで、逆に特殊なタイプの掛け算の速算法を見つけることができる。具象->抽象->具象といったん抽象化を経ることによって具体例に対する新しい洞察を得られる例だ。

抽象化という作業は、個々の具体例に共通な要素や仕組みを取り出すので、全体像を得ることができる。したがって、全体から見渡したうえで個別の特殊なグループも発見することができるようになる。
by tnomura9 | 2009-04-09 10:58 | 考えるということ | Comments(0)
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