山童(やまわろ)

管理人が小さい頃、父親の仕事の関係で山村に住んでいた。そこは、奥深い山間の村で、村の南側を走る谷川を挟んで両側に山が迫っていた。隣村へ行く山道には両側に杉の並木が聳え立っていて、昼でも暗かった。そこでは、狐や山童(やまわろ、山に棲む河童)が日常的に出没していたのだ。

村には林業に携わっている人も多かった。彼らが、山で木を切ったときに斜面の途中に引っ掛かって谷川に降ろせないときは、酒を材木の側に置いて拍手を打ち、「やまわろさん、よろしくお願いします」と祈った。翌日山へ行ってみると、酒は無くなっており、材木は谷川へ落ちていた。

また、ある日は村の有線放送で「青年団の皆さんは、小学校に急いで来てください。山童(やまわろ)に小学校の生徒が襲われて家に帰れないでいます」という放送が流れた。学校帰りに小さなサルのようなものが道端の石に腰をかけていたので、子供が石を投げたら、そのサルのようなものの姿がすっと消えて、山のほうから雨のように小石が降ってきたため、子供たちが帰れなくなったということだった。

また、別の日は近所の親父さんが隣村の宴会から帰る途中で行方不明になったということで、捜索隊が出た。その親父さんは結局、山の中の棚田の中に裸で首まで埋まっているところを発見された。宴会から帰る途中、女の人に出会ってその人の家に招待された上、風呂に入れてもらったと思っていたらしい。

これらの話は、管理人が子供のときに実際にあった話で、そう昔の事ではない。今は昔話として絵本にしか出てこない狐や狸の話は、昔は、作り話としてではなく、日常的な事件として受け取られていたのではないかと思う。
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by tnomura9 | 2005-06-13 14:01 | 話のネタ | Comments(0)
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