参考書を読んで理解するための下線の引き方を工夫していたら、従来の重要なキーワードに下線を引くやり方とは、マーキングの場所が少々異なっているのに気がついた。
従来の方法では、重要な用語や、ポイントとなる結論に下線を引いていた。しかし、そういう下線は読み返してみたときに下線の意味を忘れていることがよくあった。 理解するための下線の引き方は、こういう重要キーワードにはマーキングをしない。むしろその段落に書かれている内容を推測させるような、あるいは、質問を喚起するような箇所に下線を引く。結論よりも、問題提起のほうに下線を引いていく。さらに、接続語のようにそれ自身は論理の流れを示すだけで具体的な内容のないキーワードを丸で囲んで強調する。(丸印が目立ちすぎるので > を使ってみたが、結局、読み返した時丸印のほうが想起を助けるようだ。) このやりかたは、文章の内容よりはその論理的な構造を浮き立たせるのが目的だ。中身より箱を重視しているのだ。文章に何が書かれているかより、何のために書かれているかを重視している。ところが、文章を再読するときには、こういうやり方のほうが内容を思い出しやすいのだ。従来のやり方が、連想の終着点をマークしていたのに対し、この方法では連想の起点をマークするためだ。 文章に盛り込まれた情報は千差万別だが、その情報を取り込むための枠組みは変わらない。生理学的にはそういう構造の分析は大脳の前頭前野で行われているらしい。連想の起点となる場所をマークしたり、接続語を強調するやり方は、こういう情報を処理するための枠組みを強調するので、読み返した時にわかりやすいと感じるのだろう。
by tnomura9
| 2009-01-21 07:12
| 考えるということ
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Comments(2)
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normal
at 2009-01-22 21:20
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こんにちは。
読ませていただいていくにつれて、類推されたイメージが浮かびました。 それは薬の開発ですね。人体のフィルタを理解し、それに合うように設計をしていく。深いですね。
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tnomura9 at 2009-01-23 06:50
normalさん、コメントありがとうございました。
薬の開発の場合も、人体の生理学的な特性を利用して行われるのではないでしょうか。脳の認識活動には、脳の構造からくる特性があるはずなので、それを利用すると記憶や認知が楽になるのではないかと思います。教育法のフィンランドメソッドなどは、その方向で組み立てられているのではないかと思うのです。教育で難しいのは、抽象的な考え方をどう訓練するかということではないでしょうか。脳がどうやって抽象的な考え方をするかという、メカニズムが分かってくれば、抽象という切れ味の良い思考の道具を身につけるのがずっと楽になるのではないでしょうか。
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