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接続詞で分ける

参考書を読むときに、接続詞を丸印で囲んで、文章の論理的構成を先に見ておくと、読むのが楽になる。

たとえば次の文章を読むときは、最初にスキミングをしながら接続詞を丸で囲んでいく、その時点ではまだ本文を読まない。例文では接続語を太字にした。

3) 長鎖アシルCoAシンターゼ(ACSL)
炭素数C10~C18の飽和脂肪酸およびC16~C20の不飽和脂肪酸を基質とするACSLは、生体内における脂肪酸代謝にきわめて重要な役割を担っており、ACSLによって生成される長鎖アシルCoAは多彩な機能を有している。ミトコンドリアではβ-酸化によるエネルギー産生、小胞体においては、トリグリセリドやリン脂質、コレステロールエステルの脂肪合成に利用される。さらに、脂肪酸生合成系のフィードバック阻害、細胞内タンパク質輸送の調節、PKC(プロテインキナーゼC)の活性化、転写因子のリガンドとして遺伝子発現調整など広範囲な生理活性機能を示す(図2)。近年、ACSLの特異的阻害剤であるTriacsin Cが脂肪酸によって誘導される膵臓β細胞のアポトーシスをブロックすることが報告され、肥満や糖尿病の分野でACSLの生理機能が注目されている。また他方では、脳視床下部・神経細胞内における長鎖アシルCoA濃度が高等動物の摂食行動をコントロールしている可能性も示されている。

藤野隆弘、山本徳夫:脂質研究:822-827, 2005 より

上の例で分かるように、マークしたのは接続詞ばかりでなく、文頭に現れた主語や代名詞、副詞も利用する。要するに中身を読まずに、何となく、ここで話題が変わるなと思った単語を丸で囲んでいくのだ。

上の例でいえば、文章の構成は、
1)ACLSの定義 --- 段落の最初の定義文
2)ミトコンドリア内でのACLSの生理作用 --- 「ミトコンドリアでは」で始まる
3)小胞体内でのACLSの生理作用 --- 「小胞体においては」で始まる
4)その他のACLSの生理作用 --- 「さらに」で始まる
5)Triacsin Cの話題 --- 「近年」で始まる
6)摂食行動への影響 --- 「また他方では」で始まる

というブロックに分けることができる。そのことを先につかんだ上で再度熟読すれば、どの部分がひとまとまりになっているのかが分かっているので読みやすく感じる。

また、接続詞を見ると話の内容が前後でどのように展開していくかがある程度予測できるので、文章の前後関係の連想がやりやすく、内容があとで想起しやすく感じる。連想の方向付けができるからだ。

文章をスキミングしながら、接続詞だけに丸印をつけるというマーキングの方法はお勧めだ。
by tnomura9 | 2009-01-13 07:32 | 考えるということ | Comments(2)
Commented by normal at 2009-01-14 06:41 x
tnomura9さんを見習ってブログ開設しました。内容は作文術のまとめです。よろしければですが、意見いただければ嬉しいです^^
Commented by tnomura9 at 2009-01-14 21:15
normalさん、コメントありがとうございました。

さっそくブログを拝見しました。作文術は私も興味があるので楽しみにしています。巡回用にブックマークしました。これからもよろしくお願いいたします。
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