労働の需要を作る

今朝の朝日新聞で製造業派遣の規制への動きが報道されているが少々不安だ。

派遣労働者の保護はしなければならないと思うが、もし規制が実行されたら企業は一斉に製造業のロボット化に走り、製造業の労働需要が一度に減少してしまうのではないだろうか。たとえば、IC部品の製造をデスクトップ工場にすると、14人必要な従業者がひとりで済むという。機材への投資を含めても、開発途上国から日本へ工場を移しても生産性は2倍になるらしい。

どう考えても製造業の労働需要は先になればなるほど加速度的に減少するとしか思えない。

労働の需要問題は、労働の需要を増やす方向を考えない限り解決できないのではないだろうか。

たとえば年金の支払いの問題だ、年金受給資格のある人でも、雇用されている場合は年金を受け取ることができないというルールだ。このため、就労の機会があるにもかかわらず就労を控える人も出てくる。この規制を取り払うだけでも、国の労働人口は増加する。この人が働いても働かなくても年金は支払われるようにしたら、その分労働人口の増加とそれによる税収増が望まれるのではないだろうか。そうすれば、過重な負担を若年層に強いる必要もなくなる。

生活保護にしてもそうだ。就労すると生活保護費を打ち切られるのでは、就労意欲もわかないだろう。就労して収入が上がれば、生活保護費を段階的に減らすなどの処置をとって、就労すれば生活が苦しくなるというリスクを取り払えば、就労やマイクロ起業をきっかけに生活保護を離脱することができるようになるのではないだろうか。

職業訓練にしてもそうだ。雇用と結びつかない訓練をいくらやっても時間と資金の無駄になる。むしろ、職業訓練後自己雇用を実現できるようなシステムを作るべきではないだろうか。職業訓練後の就労や起業へと直接に結びつくようなものでないと無用の長物になってしまう。

大企業に雇用を求めても無理な時代がすぐ側までやってきている気がする。これまでの経済学にしても労働需要の急速な縮小という現象は視野に入っていないのではないだろうか。大企業-雇用という図式を自己雇用の増加による労働需要の拡大という視点にシフトする必要が出てきているような気がする。

要するに零細企業や中小企業を保護して増やそうということだが、今までの方法では賃金や不況への抵抗性ということでこれらが弱いというのは分かっている。これらの企業が収益先を大企業に依存するシステムもそれに関連しているかもしれない。また、中小企業ががんばって生産性を上げたとき、危機感を感じた大企業による妨害で倒産や買収されてしまうということもありそうな気がする。要は、強い零細企業や中小企業を育てるための商品需要の開拓法やセーフティーネットの開発や中小企業の保護をやっていかないといけないのではないかということだ。

大企業が合理化の対象の第一のターゲットとして人件費を考えている限り、労働需要の減少は避けられなくなるだろう。それに対抗するためには大企業に頼らずにどうやって、労働需要を作り出すかという発想も必要ではないだろうか。
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by tnomura9 | 2009-01-06 06:55 | 話のネタ | Comments(2)
Commented by あかさたな at 2009-01-06 16:41 x
規制されてもされなくても、企業は機械化に走る可能性が高いと私は思います。非正規労働者を解雇することで、あれほど社会的糾弾を浴びたのに、景気が良くなっても、非正規労働を雇いたいと思います?
だって、どうせいつか景気は悪くなるんですよ。景気が悪くなると言うことは、また非正規労働者をクビにする=つまり企業の評判を落とすことをしなければなりません。どう考えても非正規雇用者を雇わない工場作りを進めるに決まっています。

じゃあ、普通に考えたら少なくとも短期的には「よろしい、ならば公共事業だ」ってことで、公共事業を増やして労働需要を増やす必要がありましょうが、それもまた社会的に糾弾を浴びることは目に見えています。
Commented by tnomura9 at 2009-01-07 07:01
あかさたなさん、コメントありがとうございました。

コメントのとおり、製造業の派遣の有無にかかわらず、機械化に伴う製造業の労働需要の減少は避けられないと思います。不況に強い雇用の創出が望まれますが、事はそう簡単ではないというのも現実です。しかし、グラミン銀行の高い返済率を見ると、それでも、どこかに突破口があるのではないかという気がします。これに関して言及されるのは起業のアイディアはグラミン銀行の債務者が持っていたということです。教育も受けず文字も読めない女性たちが、融資をきっかけに継続可能な起業に成功しています。社会的な背景は違っているかもしれませんが、自分たちも少なくともリスク管理として自己雇用の可能性について検討しておくべきだし、そういう自己雇用を支援するような制度も必要ではないかと思います。上からの俯瞰的な視点ではなく、現場の皮膚感覚のようなもので需要を見つけ出せないかと思います。具体的にどうというアイディアはないのですが、たとえば、ハンバーガーを口や手を汚さずに食べたいなどの身近な不満がヒントになるのではないかと思ったりします。
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