以前IT工場を見学したことがあったが、高等学校の敷地くらいの工場で作っているIC部品が世界の市場の70%のシェアがあるときいて驚いたことがある。工場の生産能力のすさまじさを思い知らされた気がした。
自動車にしても、パソコンにしても、携帯電話にしても、あっという間に世界の市場の需要を満たしてしまうくらいの生産力があるのだろう。そうなると、需要の変動の影響がすぐに生産側に跳ね返ってくる。また、シェア争いも熾烈なものになり、価格競争のため利幅がすぐに低下してしまう。生産調整への対応が頭が痛いだろう。 しかし、これほど効率が上がっているのなら、工場をトレーラに収めるくらいの大きさにして、大口の納入先の近くに持っていって製品を作ることもできるのではないかという気がした。そうすれば部品の仕様の変更や不具合にもリアルタイムに対応することができる。あるいは、大量に生産する機能は工場に残して、試作品のみをトレーラー工場で作ってもいい。 また、工作機械を机の上に置けるくらいの大きさにした、デスクトップ工場もちらほら現れているようだ。価格がどうなっているのかは分からないが、敷地や稼動するための費用は、大工場よりは格段に少なくてすむだろう。また、製品の変化にも迅速に対応できる。3Dプリンターなどは価格が60万円と個人でも買えるくらいのものもあるらしい。精度は0.25mmとやや低いが、それでも紛失した電池カバーなどの家庭用品や、おもちゃ、フィギュアなどの試作品の作成には十分だろう。 大量生産、大量消費の図式がなくなることはないだろうが、こういった小さい工場による少量多品種の製品に対応する起業の方法もあるのではないかと思う。以前は、そういう店を立ち上げても販売ルートを見つけるのに大変な苦労があっただろうが、インターネットの普及でそういったことも緩和されてきているのではないだろうか。 ITの普及は、このようなミニ起業を立ち上げて、拡大再生産をしていくというような自己雇用の実現への垣根が低くなっているのではないだろうか。
by tnomura9
| 2009-01-01 19:17
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