新車販売台数減少

12月の国内の新車販売台数が3割減だそうだ。

不況とはいえ3割も落ち込むとは考えられない現象だ。なぜ急に需要が冷え込んでしまったのだろう。単なるムード的な買い控えなのか、本質的な需要の飽和によるものかによって戦略が変わってくるだろう。

自動車の需要と供給の動きを見ると、ウサギと狐の頭数の周期的変化モデルを思い出してしまう。ウサギの食物となる植物がふんだんにある時は、ウサギの頭数の爆発的な増加が起きる。それに伴ってウサギを捕食する狐の頭数も増加する。狐の頭数の増加に十分なスピードがあれば、ウサギの頭数はやがて減少していく。ウサギが減ると、食料を調達できない狐の割合が増え、結果的に狐の頭数が減っていく。狐が減れば、ウサギが生き延びる確率が高くなり、再びウサギの増加が起き、それにつれて狐も増える。結局、ウサギと狐の頭数の周期的な変動が一定の範囲で安定して観測される。

もし、狐が人間に狩られて極端に減少してしまうと、天敵のいなくなったウサギは指数関数的に増殖し、あっという間に食料となる植物を食いつくしてしまう。植物の再生産能力が極端に落ちると、大地はもはやウサギの生存を支えられなくなり、ウサギも絶滅してしまう。

植物の再生力、ウサギの繁殖力、狐の繁殖力の間の微妙なバランスが、周期的な変動を繰り返しながらもウサギと狐の頭数を一定の範囲に安定させているのだ。

GM社の職員の給与を高目に保ちながら、自動車の販売台数と利益を増やしていくという戦略が成功したのは、自動車という商品の需要が圧倒的に大きかったからだ。自動車販売による利益は、社員の給与を高めに保つことで社員に自動車を購買させるというやり方ではあげることができない。それでは、自分の足を食うタコと同じになるからだ。社員以外の顧客の数が多く、飛ぶように売れたから、社員に自動車を購入できるような給与を与えることができたのだ。自動車販売と社員の給与とは、ウサギと狐に見られるような平衡状態をとることはできない。

自動車産業は常に拡大していかないと成り立たないシステムなのではないだろうか。一方的に拡大していくシステムは、やがては植物を食いつくしたウサギのように需要を食いつくしてしまう。

景気が一定の変動を繰り返しながら安定していくためのシステムの根幹はいったい何なのだろうか。
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by tnomura9 | 2008-12-27 18:31 | 話のネタ | Comments(2)
Commented by normal at 2008-12-27 20:10 x
tnomura9 さんとは逆の方向で構造を考えてみました。
調べてみると「軽自動車を除く」みたいですし、2007年同月比みたいですね。新車が軽や中古に流れているのではないでしょうか。
Commented by tnomura9 at 2008-12-28 08:23
normal さん、コメントありがとうございました。

確かに、軽自動車や中古車に新車の需要が流れて行った可能性があります。しかし、人や物を運ぶという自動車としての機能の需要が飽和しているという可能性も考えなければならないと思います。新車でなくても、軽自動車でも中古車でも運送の機能は十分に果たせます。少なくとも、自動車の購買が可能な世帯での需要は飽和しているような気がします。同じ事情はパソコンや携帯電話にも言えるのではないでしょうか。基本的な性能に加えて「付加価値」ということが重要視されるようになった製品はすでに需要が飽和しているのではないでしょうか。問題は自動車産業のすそ野が大きすぎるということです。米国の労働者の10%が自動車産業に関係しているといわれています。自動車がこけるとこれらの人がたちまち職を失うわけです。かつてのITのような無から需要を作り出す方策も考えないといけないと思います。あるいは、適量の生産調整で需要と供給の平衡を保ちながら安定的に利潤を確定する方法も必要かもしれません。現実は複雑なシステムになっているのでそう簡単ではないとは思いますが。
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