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なぜ

読書の効率を上げるためには、次の3点に気をつけて読めばよいと思いついた。

1. まず、文書の中心的なテーマは何かを、何が何だという、主語ー述語を備えた文で表現する。
2. その中心文を起点として、マインドマップを作成する。マインドマップは枝の先に行くほど細かな具体的な話が含まれてくる。
3. マインドマップの枝を伸ばしていく時に、「なぜ?」という疑問に答えるような項目を書き込んでいく。


つまり、知識とは中心のテーマから、「なぜ?」という疑問の懐中電灯に導かれた広大なマインドマップなのだ。

ということで、例文を探してみたら、プレジデントロイターの次のような記事があったのでさっそく上のアイディアを使ってみようと思った。

 [北京 26日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)は26日、世界的な金融危機の国内経済への影響緩和に向け、9月中旬以来4回目となる利下げを発表した。指標となる貸出金利と預金金利をそれぞれ1.08%ポイント引き下げ、27日付で実施する。

1年物貸出金利は6.66%から5.58%、1年物預金金利は3.60%から2.52%に引き下げられる。貸出金利の引き下げ幅は1997年10月以来最大。預金金利は99年6月以来の大幅な引き下げとなった。

 中国人民銀行は、利下げは成長を促すために十分な流動性を銀行システムに供給することが目的、と説明した。


中心文は明らかだ。「中国人民銀行(中央銀行)は利下げを発表した。」だ。

あとは、ここから「なぜ?」を頼りにマインドマップを作っていけばよい。最初に、なぜとは違うが、「中央銀行とは何か」という疑問が湧いた。中央銀行とはつまり、貨幣を発行することのできる銀行だ。また、市中銀行が最終的に貨幣を調達する、銀行の銀行という働きもある。また、国債を発行することで政府に資金を調達する役割もある。

それでは、なぜ、中央銀行の利下げは、経済成長を促したり、資金の流動性を銀行システムに供給することが出きるのだろうか。

そこのところが分からなかったので、「中央銀行」でWikipediaを引いてみた。

すると、中央銀行の独立性という項で、次のような文章に行き着いた。

通常、中央銀行は一つの通貨に対して一つ存在する。中央銀行はこの通貨量を調整する権限を持つため大きな影響力を持つ。

1960年代、世界的にケインズ政策が行なわれるようになった。ケインズ政策においては財政政策として歳出を増大させるとクラウディングアウトが発生し、乗数効果に制約が掛かる。しかし、中央銀行が適切に金融緩和を行なえば、クラウディングアウトは発生せず、財政政策が最大の効果を発揮する。このポリシーミックスは供給力に未稼働の余剰部分がある場合は有効であるが、供給力が限界に達すればその政策効果は実質GDP増大ではなく物価上昇(インフレーション)の積極的な要因となる。


クラウディングアウトという見慣れない用語があったので調べたら、Wikipediaの説明は、

クラウディングアウト (crowding-out) とは、経済学において、主に財政支出の増大が民間投資を圧迫する現象を指す。「クラウディングアウト」とは「押し出す」という意味。

一般には、クラウディングアウト効果として使われる。典型は失業対策などのため国債を発行して公共事業や減税、福祉政策の拡充などを行う場合、大量の新発国債が市中金利を高騰させ、結果として民間の経済活動(投資のための資金調達や住宅購入などの消費行動)に抑制的な影響を与えてしまう場合である。


だった、国が財政支出をしても、回り回って民間投資を圧迫するかたちになり、結局は国民の所得は増えないということらしい。なぜそうなるのだろうと不思議に思ったので、さらに記事を読んでみたら、簡単な数式のモデルを解説してあったが、そこでお手上げになった。数式自体はかんたんだが、その変数が何を意味しているのかというイメージがまったく作れなかったからだ。

結局、上の読書効率を上げるための3原則は、原則としては良いが、背景の基礎知識がなければあまり効果がないようだ。

しかし、麻生首相の2兆円の給付金には国の財政を悪化させるだけで、経済を押し上げる効果はないのではないかと不安になってきた。経済の仕組みが分からずに、単に財政支出をすれば所得が増大するというような発想で決断が実行されたら、思っていたのとはちがう結果になるかもしれないからだ。

問題の中心を明らかにして、それから、「なぜ?」というマインドマップを作ろうとする努力は、たとえ、それが知識不足で断念せざるを得なくなっても、物事を単純化して行動するという危険性にストップをかけてくれるのではないだろうか。
by tnomura9 | 2008-11-26 23:55 | 考えるということ | Comments(0)
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