『すごい「勉強法」』 高島徹治著 三笠書房を読んだ。
ビジネスのハウツー本だが、著者の主張には本質的なものがある気がした。 「すごい勉強法」の要点は次のようなものだ。 1.対象となることがらの全体像をすばやくつかむ。 2.その全体像をもとに、細部について自分の頭で考える。 3.学習したことを頻繁に反復し、記憶と理解を深めていく。 4.学習に要する物理的、心理的な時間の性質を把握し効果的に利用する。 知識を求める行動に限りはないだろうが、永遠に終わらない映画など見たくもないだろう。学習するにはやはり、ある区切りが必要だ。一般的には一冊の本という形でそのまとまりは存在する。まとまりがあれば、それには構造があるはずで、その構造の全体像を最初に把握しておくと、地図を見ながら観光するようなもので迷子になりにくいだろう。 地図も持たずに知らない土地を観光する人はないだろうが、本を読むときはいきなり読み始めることがほとんどだ。最初は、目次を見るなり、スキミングをするなりして本の全体像を知ることが大切だ。 全体像が見えたら、細部を読み込んでいくわけなのだが、そのとき、自分の頭で読むことが大切だ。本の文章は単なる記号なので、それは、著者の頭の中を推測させてくれるが、頭のなかの知識そのものではない。読者はそれを推測できるだけなのだ。したがって、その文章を読んで自分がどう解釈しているのかということを意識することが大切だ。また、自分の解釈に十分な論理的整合性があるかどうかも検討しなければならない。 問題集を利用するということは、自分の理解と著者の理解の間の差分を知るのための重要なポイントだ。自分の理解を検討するためのフィードバックを提供してくれるからだ。 一度読んだら忘れない人もいるかもしれないが、たいていは反復しないと記憶には定着しない。また、反復することによって理解が進み別の視点で問題を見ることができるようになるというメリットもある。弁証法ではないが、知識の理解はらせん状の運動をする。反復は重要な学習のツールだ。 人間の脳は疲労するのでぶっ続けに勉強し続けるということはできない。勉強に振り当てることのできる時間は物理的にも心理的にも限られてくる。どのような勉強をどの時間に割り当てるのかという時間管理の技術は学習の本質的な部分を支えている。学習の成否はこの時間管理の能力次第だといっても過言ではないだろう。 著者は時間管理を効率的に行うツールとしてカードを推奨している。今まで、あまりカードを学習に利用することはなかったが、この本を読んで使ってみたくなった。 概要をつかむ、自分の頭で考える、自分の理解にフィードバックをかける、反復する、時間を管理するなどどれも当たり前のことだが、実際にはどれもやっていない。だから、管理人の勉強も一向に捗らなかったのだ。反省。
by tnomura9
| 2008-11-18 08:03
| 考えるということ
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