サブプライムに端を発した金融機関の危機が世界を揺さぶっている。経済のことはよくわからないが、ほとんど世界中の金融機関がサブプライムに手を出していたという事実に驚かされた。あらゆる機関が同じ投資方法を採用して、その方法が失敗した場合の危険性をまったく考えなかったのだろうか。
また、販売競争の激化で市場の占有の選択が起きて、勝ち組と負け組ができて参入する業者の巨大化と寡占化が起きてくるというのはよく分かる。しかし、勝ったはずの巨大企業が自己崩壊して消滅していくというのはどういう訳なのだろうか。 大体失敗というのは思いもかけない事態が生じたときに発生するものだ。予測が当たっていれば失敗するはずがない。予測が当たらなかったのだ。落ち着いて考えても、ずっと予測が当たり続けるという確率は非常に少ないのではないだろうか。 危機管理というのは予測がはずれた場合を考えてとられる対策だが、危機管理の予測の範囲を超える変化というものも起こりえる。変化を未来永劫にわたって予測することは不可能なのだ。 それでは、予測不能な変化に対応する方法は全くないのだろうか。その答えは多様性ではないかと思う。企業ごとに予測の方向性や方法が異なっていて、そのような企業がたくさんあれば、一つの企業の予測の失敗は、別の企業の予測の成功となって、社会全体の大きな破綻は避けることができる。多様性を内部に持っているシステムは、変化に対して強いのではないだろうか。 金融機関の破たんも、意思統一が整備された大企業の破綻も、多様性が足りなかったからだ。現代の企業経営の中で、最重要視されているのが効率化だ。人員や資源の効率化によって最大限の利益や価格競争力を発揮していこうという考え方だ。しかし、その中でシステム内部の多様性が損なわれ、環境の急激な変化に対応できず破綻していく危険性を内包していくのではないだろうか。 最近のアジャイルな開発にしても、ブラジルの経営者がはじめたセムラーイズムにしても、小規模な組織で変化に大胆に対応していくという姿勢がみられる。これらが万能だと主張する気もないし、巨大企業の力を無視することは無理だ。しかし、現代が今までにない変化の速い時代であり、それに対応するのに多様性というキーワードは重要な意味を持っているのではないかという気がする。
by tnomura9
| 2008-09-28 09:21
| 考えるということ
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