リーマンブラザーズの突然の倒産から世界中が大変な騒ぎになりそうだが、同じような危険は経済のどの分野でも起こりそうな気がする。
すなわち、資金や市場支配の集中化による、経済システムの不安定化だ。資金や市場支配が集中することによって、それを担う企業の肥大化が起こり、それにともなう企業の内部崩壊によって全体の経済システムが簡単に破綻してしまうというシナリオだ。 多数の企業が乱立している状況では、一つの企業が破綻しても、すぐに別の企業がそれを補ってくれる。しかし、一つの企業が市場の大半を支配している状態でその企業に異変が起きると、全体の経済システムに破壊的な影響を与えてしまう。 経済のグローバル化の本質は、情報と物の移動の速度の増加だ。一地方で起きた異変が簡単に世界全体に波及してしまう。また、企業間競争の勝敗へのプロセスも加速され、その結果としての寡占状態が、同時に勝者であるはずの企業の組織の硬直化と内部崩壊を引き起こしてしまう。これに、対抗する勢力があれば問題ないが、寡占状態ではそのような担い手は存在せず、ステークホルダーの崩壊はそのまま全システムの崩壊へつながっていく。 移動速度の増加と、支配力の集中化、集中化した権力の内部崩壊による破綻という図式は簡単なセル・オートマトンでもシミュレーションできるのではないだろうか。 医療崩壊が止まりそうにない。地方の基幹病院が次々に縮小、廃業する流れは止まりそうにもない。医師数を増やすとか、勤務医の手当てを上げるとかいろいろ対策が議論されている。しかし、このような事態が発生した根本が、ユーザの良質の医療を求める行動と、医師の側の良質の経験と自己の診療能力の開発を願う行動や、業務の集中やユーザからの訴訟による医療従事者の疲弊による脱落などの行動と、それが情報伝達の高度化によって一部の施設へ医療機能が集中しそうして崩壊していくことを理解しなければならない。そうして、個々のユーザや医療従事者のセル・オートマトンの行動が、どのように全体のシステムに影響を与えていくのかということについてのシステム論的な考察が必要なのではないだろうか。
by tnomura9
| 2008-09-27 00:12
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