含意とは、「AならばB」であるという複合命題だ。「今日夕焼けが見られたら、明日は晴れだ」という命題が正しい場合、今日の夕焼けで、明日の晴天を推論することができる。
記号論理学では、A⊃Bと書き、真理表は次のようになる。 A B A⊃B 真 真 真 真 偽 偽 偽 真 真 偽 偽 真 この真理表は、一般的な感覚と違うので戸惑う。Aが偽の時は、Bの真理値が真でも偽でもA⊃Bは真になってしまうのが腑に落ちない。論理学の教科書を読んでもそこのところをなぜそ∩うなるのか解説してあるのを見たことがない。それで、こういうものではないかと考えてみた。きちんとした資料からの引用ではないので、間違っているかもしれない。 まず、Aが成立していてBが成立しないとき、すなわち、A∧(¬B)のとき、A⊃Bは明らかに偽である。したがって、 A∧(¬B) ⇒ ¬(A⊃B) この対偶をとると、 A⊃B ⇒ ¬A∨B ・・・・ ド・モルガンの法則 逆に、¬A∨Bが真であることが分かっていれば、Aならば、Aかつ¬A∨BからBは真であることがわかる(Aかつ¬Aはありえないので)。つまり、A⊃Bである。 結局、A⊃B ⇒ ¬A∨B かつ、 ¬A∨B ⇒ A⊃B なので、この二つの複合命題は同値であることが分かる。一般的な感覚とは違うが、確かに上の真理表は正しいのだ。 AならばBであるという含意は、数学以外の問題を論理的に考えようとするときに頻繁に出てくる。しかし、このように一般的な感覚とは違う真理表であるために、誤った推論を導き出しやすいのではないだろうか. しかし、上の二つの命題の同値関係を知っておくと便利だ。「たばこを吸うと、肺がんになる」という命題が真であるとすれば、人間は皆「たばこを吸っていないか、または、肺がんになる」ということが分かる。二番目の命題は含意の表現より、対象となる集合全体の見通しを与えてくれる。また、「たばこを吸っていて、かつ、肺がんにならない」人があれば、最初の含意が偽であることが分かる。 ただし、「たばこを吸うと、肺がんになる」という命題は、たばこを吸った人が必ず肺がんになるという主張をするから、偽となるのであって、たばこを吸っていて肺がんになる人と、たばこを吸わないのに肺がんになる人を比べたら、前者の方が圧倒的に多い。
by tnomura9
| 2008-09-08 08:04
| 考えるということ
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