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思考と論理

コンピュータを利用してモデルを作ると、理解が進みやすいように見えるのは、脳の思考方法と実際の現象の性質とが微妙に違うからではないだろうか。

現実の現象は自然科学の成果からも分るように、ロジックで成り立っているような気がする。それに比べて人間の思考の場合は連想やパターン認識が主になっているようだ。パターン認識は瞬時に複雑な情報を纏め上げたり、複雑な相互関係を直感的に把握するのは得意だ。

しかし、現実の現象は論理で組み立てられているので、直感がカバーできない部分が多々ある。全ての場合をつくすこととか、境界条件を調べるとか言うことは直感よりも論理的な検討のほうが有効だ。

例えば連想だが本などを読んでいて二つのキーワードの間の連想をつけるのは簡単にできるだろう。しかし、同じキーワードにいくつも連想を作ることができるときや、連想の相互関係が入り組んでいるときなどは、連想の間の干渉がおきて混乱することがある。

そのようなときにここで紹介した連想プロセッサーなどを使って、機械的に二項間の連想だけを記録しておき、相互作用の分類は機械に任せてしまうことができる。脳は個々の連想付けは得意だが、連想の個数が増えすぎると混乱してしまう。一方、機械は思考はできないが、出来上がった連想の整理をするのはお手の物だ。したがって、両者を結びつけることによって、脳の苦手なところを機械で補うことができる。

プログラムでモデルを作ってその動作を検証するという手続きは、思考のパターン認識と現実世界のロジックのあいだの架け橋を作ってくれる。気候のシミュレーションのような大規模なものではなくても、簡単なモデルをつくることによって、自分の理解度を検討するというのは有効な方法のような気がする。
by tnomura9 | 2008-05-12 13:25 | 考えるということ | Comments(0)
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