人気ブログランキング | 話題のタグを見る

くり返し

参考書のノートをA5カードに作成したものを何回も見返していたら、だんだん理解が深まってくるのに気がついた。

まるで、スポーツの要素技術の訓練のときに起きてくるような変化だなと思った。剣道の素振りなども最初は腕全体に力が入って動きがぎこちないが、練習を重ねるうちに力が抜けて、竹刀の軌跡もスムーズにかつスピーディーになってくる。こういった運動の巧緻化は小脳の働きだ。そこで、「小脳 情報処理」で検索したら、びっくりするような情報が引っかかってきた。

それはエイ・ティー・アール人間情報通信研究所の川人 光男さんが作ったロボットアームで、このアームを制御するコンピュータには、小脳の情報処理の仕組みを微分方程式の形で再現したプログラムが組み込まれている。このロボットは手のひらの上に1メートルの棒を立てて、倒れないように制御できる。

小脳には外界や運動をモデル化し、そのモデルによって運動の予測を行う機能があるそうだ、次の文章は元記事からの引用だ。
 仮説では、人間の小脳の新小脳(腹外側部)と呼ばれる部分に、人間のあらゆる行動や思考のミニチュアモデルのようなものがあるとする。棒を立てる場合、新小脳に棒の揺れ方をまねた内部モデルが作られ、新小脳がその内部モデルを使って揺れを想定し、その揺れに腕が対応するよう、実際の神経情報を流して筋肉を動かすのだという。

驚いたことに、小脳のモデルは、大脳の働きと思われていた思考のモデリングも行っているらしい。
 「サルが眼球を動かしたときに小脳の中を流れるパルス(短い電流)の数、人間が腕を動かしたときの筋肉の固さ、人間が複雑な思考作用に取り組んだときの小脳の血流などを調べた。その結果、こうした内部モデルが、従来は小脳の機能とされていた運動面だけでなく、大脳の仕事と見られてきた学習や言語、思考、コミュニケーションなど人間特有の脳の働きにも見られることが分かったのです」

知的な学習についても、運動の場合と同じようにくり返しによるモデルの洗練が行われているのかもしれない。そうであれば、くり返しによって、単に記憶の強度を増すだけではなく、記憶の構造の再構築による理解の深化が行われている可能性がある。
by tnomura9 | 2007-05-26 07:07 | 考えるということ | Comments(0)
<< 考えるということの過去記事 学習の戦略 >>