高校生のころ、書店で『学習の戦略』という本を見つけて買った。米国の大学一年生へのオリエンテーション向けの本だったようで、参考書の読み方や、ノートのとり方などが詳しく書かれていた。
参考書の読み方では、いきなり本文を読まないように勧めていた。、最初に前書きや目次をよみ、ぱらぱらと本文のスキミングを行って概略を掴む。次に、概略から思いつく質問表を作成する。本文はその質問表に答えを探す気持ちで読んでいくという内容だった。とくに、その本では、質問を作るということの重要性を強調していた。そして、質問の答えが得られれば、必ずしも本文を読む必要はないと書いてあったのが意外だったことを覚えている。 残念ながら、高校生の管理人には、その技術を活用することはできなかった。質問表が作れないのだ。内容を全く知らないのにどうして質問表ができるのだろうと不思議でならなかった。結局、前書きも読まず、目次も跳ばして、本文にいきなり取り掛かる読み方で受験時代を過ごしたが、今考えるともったいないことをしたと思う。 大人になってみると、本を読む前の質問などいくらでも作ることができる。「この本から、何を得ようとしているのか?」、「この本の内容を100%理解したいのか、それとも、概略が分かればよいのか?」、「どのくらいの時間をかけて読み終わるつもりか?」、「すでに知っている知識はないか?」、「内容のどの部分が未知の部分なのか?」、「読んでいてなぜ分かりやすいと感じるのか、または、なぜ分かりにくいと感じるのか?」、「内容の論理構造は単純で、用語と内容の単なる一対一対応なのか、それとも、複雑な論理構造をしていて論理的な推論をしないと理解できないのか?」等々。 学習の戦略は問うことから始まる。答えはすでに問いの中に存在するといってもいいかもしれない。高校生のときに質問表が作れなかったのは、知識の答えとしての問いを作ろうとしたためで、大人になって、すらすら作れるのは、知識を獲得するための戦略を立てることができるようになったからだ。 しかしながら、実を言うと大人になっても高校生と同じにいきなり本文を読んでいることが多い。本を読む前に考えるというのは、精神エネルギーの消耗が激しいようで、つい億劫になりがちだ。また、質問をしない理由の二つ目は習慣だ。事前に考えるという習慣がついていないためだ。管理人の場合、大人になっても事前に段取りをつけたことはあまりない。習慣的に行動しているうちにたいていの仕事はさばけていっているからだ。 高校生に限らず、大人になっても、まず問いを発するという習慣をつけることが大切だ。
by tnomura9
| 2007-05-25 07:26
| 考えるということ
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