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「分ける」と「あつめる」

管理人は分類表が嫌いだ。参考書を読んでいても、分類表の項は跳ばし読みしてしまう。分類項目の必然性に悩んだり、分類が全ての場合を尽くしているのだろうか、整合性はあるのだろうか、重複しているところはないだろうかなどと、いろいろ考えているうちに訳が分からなくなるからだ。

しかし、どうしても分類をさけて通れないことがあって、仕方なしに読んでみて気がついた。分類表を読んでいて混乱するのは、グループ分けの際に共通の性質と異なる性質が混在しているからだ。全体をいくつかのグループに分割するときには、何かの基準を用いて性質が異なるものを分けるという操作を行うが、基準が変わってしまうとちがうグループ分けになってしまう。

また、同じグループに入っているメンバーでも、他のグループと共通する性質をいくらも持っているものもある。さらに、同一グループ内でも全体に何が共通しているのか分かりづらいものもある。

複雑な分類表は、複合命題による分類がなされているからだ。複合命題による分類とは、次のようなものだ。たとえばある集団を分類するときに、A B C という3つの性質があるとする。そうすると、その中の個体のうちAという性質は持っているが、Bは持っていず、Cも持っていないものを、A+B-C- と書くことにする。この組み合わせの違い全部は2の3乗の8とおりあるが、それでは分類する意味がない。そのうちに共通の性質を持つものに分けたいのである。

A B C という性質はあるが、実際に分けたいのは表面には現れない D という性質であり、そのDという性質の程度の分類を A B C の組み合わせで行いたいとする。そうすると、A+B+C+ と A+B+C+ と A+B-C+ と A-B+C+ と A-B-C+ が同じグループに属していれば分かりやすい。皆C+だからだ。しかし、A+B+C- と A+B-C+ のみが同じグループであったとするとグループ内のメンバーとグループ外のメンバーとの差異が分かりづらく混乱するのだ。

分類表の意図が読めないときは、分類者と読み手の複合命題に対する判断のすりあわせができていないことが多い。このような場合は、まず、読み手がここで「分ける」と容易に判断できる境界と分類表の境界とが一致する場所を探すと良い。また、分類表のグループの中で、メンバーをひとつのグループに「あつめる」ことができると読み手が用意に判断できる部分を探すことも有効だ。このようにして、読み手の判断基準と分類表の判断基準をすり合わせていくのだ。

文章を読んでいくときも、この段落とこの段落は「分ける」のだろうか、「あつめる」のだろうかと考えながら読んでいくと分かりやすい。このときに同時に自分が物を分けているイメージや集めているイメージを思い浮かべながら読むと分かりやすく感じる。

人間は頭だけで考えるのではなく、手を使った動作でも考えているのではないだろうか。それだから、抽象的な対象を扱うときも、「わける」とか「あつめる」とかいう動作に関連付けて理解しようとすると分かりやすく感じるのかも知れない。
by tnomura9 | 2006-10-27 12:04 | 考えるということ | Comments(0)
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