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忘れる効用

知識を効率的に獲得しようとすると、記憶力を上げようと努力するということになるが、忘れることの効用を忘れてはいけないような気がする。

たとえば、スリラー映画などのシーンをいつまでも覚えていたら、気持ち悪いだろう。記憶するために努力しなければならないのは、逆に言うと、不必要な記憶を思い出させないような機構が働いているからかもしれないのだ。

さして必要も無いのに記憶力を上げようとするのは、忘れることによる心の安定を脅かすことになるかもしれない。旧ソ連の人で記憶術を工夫しているうちに忘れることができなくなった人がいるが、現在の映像に、同様に鮮明な過去の映像が干渉して困ったという話がある。超人的な記憶力を持ちながらなんら生産的な仕事ができなかった。

過ぎたるは、及ばざるが如しだ。
by tnomura9 | 2006-03-14 04:51 | 考えるということ | Comments(0)
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