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ザッピング

ザッピングとはテレビを視聴するときにリモコンで頻繁にチャンネルを切り替える行動をいう。語源はリュックサック(zap)を背負って野山を気ままに散策することらしいが、一緒にテレビを見ている人には迷惑な話で、奥さんから我慢できないと避難されたり、心理学者からはストレスが溜まっているからだと断定されたりしている。しかし、これは動物行動学で言う探索行動の一種なのではないだろうか。

探索行動とは動物や幼児が周囲の状況を探索する行動のことである。実験室のネズミなどの場合も、迷路学習用の迷路に報酬をおかないで放しても、あちこちと移動して迷路の探索をする。また、このような探索行動を先に行ったネズミは迷路の先に報酬をおいた場合も学習の速度が速い。おそらく、探索行動によって脳の中に空間地図を作成しているのではないかと思われる。

探索行動の特徴は、行動にこれといった目的がないということだ。気ままに周囲を歩き回って、その状況を探索する。目的のない行動の特徴は、心理的なエネルギーが低く疲れをあまり感じないところだ。先程のザッピングにしても、パソコンやスマホによるウェブの散策にしても飽きずに長時間続けることができる。探索行動は思考活動と言うよりはもっと本能的なものだからかもしれない。

この疲れにくいというザッピングの特徴は参考書を読むときに利用できるだろう。要するに、特に読むという意識もなく本のページをあちこちと捲ってみるのだ。興味が湧けば読めばいいし、そうでなければさっと通り過ぎる。何かを学ぶという目的意識はおいておいて、とりあえず気ままに散策するのだ。そうしているうちにその本の空間的な情報が自然に頭の中に入ってくる。これは、あとで本格的にその本を読解するときに随分と助けになる。意識して読むわけではないので1回のザッピングで頭に残るものは少ないだろう。したがって、暇があれば何回も繰り返すことになる。

ザッピングは探索行動という本能的な行動であるので、精神エネルギーをあまり消費せず情報の探索ができる有効な方法のような気がする。

by tnomura9 | 2017-03-07 05:36 | 考えるということ | Comments(0)
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