関手のイメージ

圏論は、それぞれの概念のイメージができると理解が楽になる。

たとえば、圏は対象と射からできているが、対象の中身は覗けないというのがポイントだ。その代わりに対象の中身に関係する事は、全て射で表現される。したがって、対象は単なる丸でイメージしても構わない。しかし、その丸と丸を結ぶ射は対象内部の構造に応じてたくさんの数があると考えないといけない。同じ対象間の射の数は数百個になる場合もイメージしないといけない。対象と対象の間が1個の矢印で結ばれているというイメージでは圏の振る舞いを理解できない。

こういう分子モデルみたいな視覚的なイメージを操作しながら参考書を読んでいくと、書いてある事の意味が分かりやすくなる。

それでは、関手のイメージとはどのようなものだろうか。一番簡単なのは、圏から圏への射であるというイメージだ。つぎのような感じになる。

T : C -> D

しかし、これだけでは簡単すぎるのであまり利用価値がない。関手の構成にまで考えを及ぼすと、関手とは対象と対象を対応させる対象関数と、射と射を対応させる射関数の組で構成されているということになる。

このときも、圏論では対象の中身は見えないのだから、対象と対象の対応付けは単にそれぞれの圏の1個の対象と対応する圏の1個の対象を対応させる関数をイメージすれば良い。対象の要素同士の関数のようは複雑なもののイメージはいらない。

射関数の場合も、基本的には対象関数の場合と同じだ。射の内部構造などは考えないで単にこちらの圏の射とあちらの圏の射を対応させるだけだ。しかし、射の場合は圏 C の対象 A, B の射 f : A -> B を圏 D の対象の E, F の射 g : E -> F に対応させる場合の共変関手と g とは反対方向の h : F -> E に対応させる反変関手がある。

構造が複雑になっていくと、イメージを作るのがだんだん大変になっていくが、このような対象と射の分子モデルを作る事で何が語られているのかにアプローチしやすくなる。
[PR]
by tnomura9 | 2014-06-11 08:16 | 圏論 | Comments(0)
<< 自然変換のイメージ 『ラッセルのパラドックス』の要点 >>