今圏論と格闘中だが、こういう抽象的な概念を理解するための3つの要件に気がついた。3つの要件とは、つぎのようなものだ。
1. 理論を論理的に追従できること。 2. 理論の具体例と理論の関係を理解できること。 3. 理論と具体例の意味を理解すること。 第1に理論を論理的に追従できるということが必要だ。理論は論理的な論証で組み立てられているが、その論理の運び方が論理学の法則に従っているかどうかを追従できること。記号論に例えると統語論的な関心だ。その理論が具体的に何をのべているかにかかわらず、論理の運び方に注意を集中する。 しかし、この場合、理論の論理性は理解したものの、その定理が何について述べられているかが分からないということも多い。それは、論理の本質的な形式性から統語論としての推論の正当性ばかりが全面にたちやすいからだ。論理は事象の骨格としての構造は記述するが。具体例という肉体を補充しなければ本当には理解できたとはいえない。 従って、第2にその理論が記号として表しているものの実体としての具体例をあげ、理論の論理性と具体例にあらわれた構造との関連を理解しなければならない。この場合理論という骨格が、具体的な事柄の背後に存在する構造としてどう現れているかを知ることが大切だ。これは、記号論の意味論にあたる。 さらに、第3にはその理論の生まれた背景や、何を目的としてその理論が構築されたのかについて理解することが必要だ。つまり理論の意味を知るということ。これには、理論を論理的に理解することとも、その理論の具体例を理解することとも異なる理解の仕方が必要になってくる。この理論がなぜ必要なのか、この理論が他の事柄とどのように関連しているのか、また、どのような応用が期待できるのかなどのことについて理解しなくてはならない。記号論の語用論にあたる。 もうすこしわかりやすく書こうと思ったが上手く行かなかった。とにかく、理論、具体例、理論の意味(動悸)の3つについて理解したという感じが得られなければ、なんとなくわかったようなわからないような不満感が残ってしまう。また、これらの要件について全て記述した参考書はないことが多いので、どうしても複数の参考書を参照しながら主となる参考書を読み進める必要がある。 さらに、もうひとつ重要なのが、それらについて慣れ親しむということだ。つねにその理論やその周辺のことがらについて考え続けているということだ。それは、脳の非言語的な領域にその理論についての情報を与え続け、自己組織化的に理論に対する理解が成長するのを待つためだ。 フリーセルの解き方のような言語化しにくい技術は脳の無意識の領域がそれについてのスキルを開発するのを待たなくてはならない、これは非言語的な熟練なので言葉として表すのが難しい。しかし、刺激を与え続けることで確実に技術が培われてくる。 数学のような言語的と思われる知識の場合も、推論の中にパターンマッチなどのような非言語的操作が多く含まれている。このような場合はフリーセルなどのパズルとも共通する言語化できないスキルの発達が必要になってくる。これもまた、頻回に問題に接しない限りは進歩しない。 抽象的な概念を理解するためのコツは、論理、具体例、意味、そして非言語的な熟練だ。
by tnomura9
| 2014-05-26 02:43
| 考えるということ
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