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中国が直面する成長をめぐる難しい選択

The Wall Street Journal 日本語版の10月19日の『中国が直面する成長をめぐる難しい選択』という題の記事が興味深かった。そこでは、中国の経済の問題点が、政治的な利権を利用した政治的なエリートへの富の集中による所得格差だと指摘している。

政治的な利権を利用した錬金術はたとえば「政府が農民から購入した安い土地を高く転売する際に恩恵を受ける地元の役人」というような例に典型的に現れる。いわゆる搾取である。

土地の値段というのは、工場の生産力や、農場の産物のような実態的な財を反映していない。単位面積あたりの値段がいくらであろうと、土地には変化がないからだ。何億円という資産が一瞬にして無価値になってしまう危険性をはらんでいる。

また、土地の売買によって発生した所得は、主に奢侈品に使われるが、その国の産業によって生産された商品を買うのでない限りそのお金は海外に流出していく。その国全体を富ませることはできないのだ。

また、不公平なこのシステムは一部の富裕層を著しく富ませるが、大多数の国民はそれに伴ってどんどん貧しくなっていく。このことは、国内の消費を枯渇させ、富裕層が持続的に所得を得るためには大半を輸出や海外からの投資に頼らなければならないという歪な経済構造をもたらす。

このような、経済構造は、輸出力の低下によって非常に打撃を受けやすく、カタストロフィックに社会のシステムの崩壊をひきおこす可能性がある。

確かに、見かけの繁栄にもかかわらず、中国の経済は危険水域に達しているのかもしれない。

一方、The Wall Street Journal のこの記事では、中国の高い所得格差と日本の低い所得格差を対比させ、日本の全体としての消費力の高さが失われた10年を乗りきらせたのだと言う。

しかし、日本も中国を対岸の火事と傍観しているわけにはいかないだろう。経済活動があるかぎりそこには勝者と敗者が存在し、富は勝者に集中していく。「持っているものはますます持つようになり、持たないものは持っているものまで取り上げられる。」という聖書の「マタイの法則」は経済活動においては自然法則にも等しいくらい強力な原理だからだ。

世界にも類を見ない日本の所得格差の低さは、日本の敗戦と、GHQによる財閥解体や農地改革による富裕層からの強制的な資産の再配分に負うものが大きい。自力で成し遂げたわけではないのだ。昨今の能力主義や景気刺激を名目にした所得税の減税の議論は、日本の所得格差を増大させる方向に進んでいるといってもいいだろう。

一党独裁の中国共産党のようなあからさまな官僚の腐敗はないにしても、所得格差による機会の不平等がじわじわと日本の社会のシステムを腐食させていく危険性は否定できない。

所得格差が悪いのではなく、有能な人間が所得格差のためにふさわしいポジションを得られなくなるということが問題なのだ。電気器具に例えるのはまずいかもしれないが、優秀な部品はその能力をフルに発揮する場所に配置されて初めて全体としての器具の性能が上がってくる。中国の場合はまさにその反例の典型で、日本の政治家の世襲のようなものも同じような危険をはらんでいる。
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by tnomura9 | 2012-10-20 06:26 | 話のネタ | Comments(0)
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