構造的な中国の貧富の差

中国の貧富の差は有名だ。経済が発展するための過渡的な現象かもしれない。しかし、どうもそのこの貧富の差は構造的なもののような気がしてきた。中国の経済発展と切り離せない現象ではないかということだ。

中国に進出する時の政治的リスクは以前からよく知られていたことだ。しかし、そのリスクをおかしてまでも日本の企業は中国に進出しようとしている。なぜなのか。

それにはふたつの理由があるだろう。ひとつは中国の人件費の低さだ。人件費は固定費なので低ければ低いほど利益率が上がるし、価格競争力も増す。もうひとつは、市場としての魅力だ。人口は日本の10倍で、白物家電のような日本では既に飽和状態にたっしているような商品の需要がまだまだ旺盛だ。

二つ目の理由の重要さは疑えないが、一つ目の人件費の低さに注目してみよう。これは、日本が中国の製品を利用したり、中国で現地生産する大きな理由だ。しかし、これを中国の立場から見ると、中国製品の価格競争力は、中国の経済発展の大きな要因だ。中国製品の価格性能比が低ければ誰も中国製品を買わないだろう。その価格競争力のもっとも大きな要因が賃金の安さだった。

これは、見方を変えると中国製品は価格が安くなければ急速にその競争力を失ってしまうということだ。製品が売れれば中国に財貨が流入する。しかし、その製品の競争力を維持するためには必然的に人件費が安価でなければならない。そうであれば、中国政府は何らかの手段を用いて賃金を低く保つ努力をするだろう。実際に最低賃金だけでなく、賃上げにも公的な規制がはたらいているそうだ。

中国製品は売れれば売れるほど、賃金をあげないための操作が行われる。必然的に流入した財貨は、労働者には流れず資本家へ流れるという結末になる。働く人への賃金は低いままで据え置かれ、流入した財貨の余分は富裕層に流れていく。それは、そうしないと中国の製品の価格競争力が損なわれ、販売不振にならざるを得ないからだ。

もし低廉な賃金が価格競争力をあげるのなら、日本も中国に対抗して低賃金にすることができる。しかも、中国のような貧富の差を作らないですむ方法がとれる。中国では製品の利益が少数の富裕層に流れていく仕組みで低賃金を達成している。しかし、日本の場合にはこの様な富の配分の偏りを起こさずに賃金を下げることができる。

それは、ベーシックインカムを導入することで、すべての国民の生活を保証し、同時に最低賃金を下げるのだ。基礎的な生活が保証されていれば、賃金の低下は国民の貧困にはつながらない。そうして価格競争力を増した企業が利潤をあげればその一部を税として吸い上げることで富の再配分ができる。

中国は低賃金による余剰な富が富裕層に流れてしまったが、日本の場合は富の再配分は国民全体に行われる。企業の価格競争力についてはまったく差がないにも関わらずだ。

中国がこのまま低賃金政策を続ける限り、貧富の差は増大しいずれは大きな社会不安を引き起こすことになるだろう。20年後に中国が最貧国になるというヒラリー・クリントンの予言は、理想主義的な発言ではなくなるかもしれない。
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by tnomura9 | 2012-09-27 00:05 | 話のネタ | Comments(0)
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