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失敗に学ぶ

畑村洋太郎著 『失敗学のすすめ』 以来、失敗の事例を研究することが盛んになってきているようだが、どうして失敗するのだろうか。また、失敗の事例を研究することがどうして大事なのだろうか。

考えてみると、失敗をしたときは、想定外の事態が発生しているのだ。

将棋の例でも分かるように、考えるということは全ての選択肢について検討することなのである。しかし、全ての選択肢について考えるのは、やはり、将棋で分かるように、簡単に膨大な選択肢が発生するために事実上不可能だ。

したがって、実際にはありえない選択肢については検討しないようにして、枝刈りを行って選択肢を減らすようにしている。しかし、この枝刈りが必ずしも妥当だという保証はないのだ。そのため、ありえないと思われていた事態が発生して、失敗してしまうのである。

このようにありえない事態が発生するのはなぜだろうか。それは、人間の考えの癖が、必要な選択肢を無視してしまうのだ。同じ失敗を何人もの人が経験する場合、そこには、人間の普遍的な考え方の癖が反映しているとも考えられる。失敗事例の検討は、失敗にいたる人間の思考の傾向を見つけようとすることでより有益なものになるのではないだろうか。
by tnomura9 | 2005-08-25 07:13 | 考えるということ | Comments(0)
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