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多能工

生産システムでシステムの冗長性を増やすためには、多能工を育てるというのもひとつの考え方だろう。フォードのライン生産は、高度の技術を持った工員の確保難とコストを軽減するために、部分的な工程で技能教育をやるという方法で効果を上げた。多能工を育てるのはその逆の方向になる。

比較的賃金が安く、労働者の確保も容易な状況ではフォードの方式は効果を上げた。しかし、現在の日本のように高賃金の場合、雇用者を容易に増やすことはできない。生産ラインの変更や、雇用者の休職などのリスクに対応するためには、多能工を育てる必要があるだろう。

システムの冗長性とは、現在のシステムの生産性に加えて、潜在的なリスクに対応させることのできるようなシステムの余力を作っておくことだ。多能工が増えるということは、雇用者数を増やすこと無しに、潜在的な生産力を上げることになる。あるラインで欠員があっても、迅速に他の部署から派遣できるため生産がストップすることがない。また、リスクに対応させるための余剰人員を特定の部署ごとに配置しないで良いため、雇用者数を最小限に留めることができる。

たとえば、小さな診療所では、スタッフが若いと子供の病気や学校行事で欠員が出るリスクが大きい。この場合、看護職に受付事務や窓口会計の教育をしておくと、事務職員が休んだとしても業務が滞ることがない。

また、ブラジルのセムラー社は生産現場の人間にも貸借対照表の読み方などの経営教育をしている。セムラー社はこの他にも組織をできるだけフラットな構成にしたり、部署間の連絡はできるだけ口頭で行うようにして無駄な文書の発生を抑えるなどの実験的な取り組みをしているが、それが実際的な効果を挙げているというから面白い。

いずれにせよ、比較的小さなシステムでは多能工を育てることが、システムの生産力の余力をつけ、システムに冗長性をもたせてリスクに対応することができるようだ。
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by tnomura9 | 2011-04-13 11:02 | 話のネタ | Comments(0)
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