福祉と税の一体改革

菅政権の支持率は最低で、マスコミは政治の混乱を報道するのに喧しいが、何か忘れていないだろうか。

ロシアや中国の強硬姿勢や、国債の残高、企業の海外脱出、若者の就職難など危機的状況がすぐ傍に迫っているのに、それに関する真面目な報道を見たことがない。政争の問題も大切だが、こちらの方は日本の生死が掛かってくる。

福祉と税の一体改革は、理想の問題ではなくて安全保障の問題と捉えなくてはならないのではないだろうか。最近のアラブの政変を見るとわかるように、独裁政治による財の偏在は、死んでも構わないと思いつめる大多数の国民を増やしてしまう。

資本主義的な経済活動の行き着く先は、財の偏在だ。これは、人間が経済活動を行うための原動力となるので、抑制することが経済活動を殺しかねないのは、社会主義経済の崩壊によって歴史的に証明されている。今の中国もロシアももはや社会主義国家ではない。

しかし、この傾向を放置することはその社会全体の崩壊へとつながりかねないという事実は、マルクスの主張が現代にも通じるものであることを示している。管理人はマルクス主義者ではないが、概括的に状況を推論するとそうなる。

福祉と税はそれについての安全弁と考えないといけない。福祉と税の主な役割は、財の再分配である。偏った財を再分配することによって、通貨の流通を刺激し、経済が循環不全に陥って経済主体が死んでしまうのを防いでいるのだ。福祉は思いやりではなく社会の安全保障と捉えなければならない。

福祉を行うためには財源が必要だ。したがって、福祉と税とは一体的に運用すべきなのだ。

消費税には逆進性があると言われるが、消費税があっても、ベーシックインカムによる保証があれば日常の生活に困ることはない。結果的に、大きな消費をする余裕のある人が税を負担し、消費しない人は税の負担が軽くなる。消費税の増税と福祉は一体的に運用されなければ効果が発揮できない。

また、ベーシックインカムに所得制限をかけるという意見があるが、所得を確認する事務的な費用を無視した空論だ。所得制限なく配分すれば所得の申告などの煩雑な事務を一切排除することができ、公務員の削減にもつながる。公務員の非能率性は、公務員の働きそのものの問題よりも制度が原因となっている場合が多いのだ。

子ども手当に所得制限をかけるという議論自体が、税や福祉についての議員の無知を晒している。

たしかに、せっかく身を粉にして働いて得た収入から税金を取られるのは割り切れないものがある。しかし、日本の国全体の安定が損なわれるのは元より望むところではない。福祉と税の意義とその運用について国民が無関心で良いはずがない。このままだと、それが損なわれていく可能性が高いのだ。

すぐ傍に迫っている破局を国民に報道する義務をマスコミは忘れてはいないだろうか。
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by tnomura9 | 2011-03-07 19:08 | 話のネタ | Comments(0)
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