文章の要約を作るときは、マインドマップを書いてみるのが便利だ。マインドマップの中央にその段落の中心文をおき、段落のその他の内容をその中心文に結びつけていく。
マインドマップでは、普通、中心に置くのはキーワードだが、文章を理解するときはキーワードではなく、主語と述語のみから構成された簡潔な文のほうが良い。キーワードはその文章で取り扱っている対象を示すが、キーワードが主語と述語にある文は、その対象についての判断が含まれるからだ。 次の文章は、Wikipediaのプロトタイピングについての記事の冒頭の部分だ。 プロトタイピング(Prototyping)とは、実働するモデル(プロトタイプ)を早期に製作する手法およびその過程を意味する。その目的は、設計を様々な観点から検証するためだったり、機能やアイデアを形にすることでユーザーから早めにフィードバックを得るためだったり様々である。プロトタイピングはシステム設計工程の一部として組み込まれることも多く、それによってプロジェクトのリスクと費用を低減させると考えられている。反復型開発では1つ以上のプロトタイプが作られ、欠陥や問題が徐々に解決されていく。プロトタイプの改善が十分なされ、機能/堅牢性/製造の容易さといった設計目標に達したとき、製品としての製造が可能となる。 この文章の場合、マインドマップの中心に置くのは、「プロトタイピングとは実働するモデルを早期に制作する方法である。」という文だ。主語は「プロトタイピングは」で、述語は「実働するモデルを早期に制作する方法だ」だ。 この中心文だけ読んでもプロトタイピングが何だということは大体分かるが、この段落の他の文章をこの中心文に関連付けてマインドマップを作ってみると、プロトタイピングの意義がよくわかってくる。また、この関連付けの際に「なぜ?」とか「どのように?」などの質問を発しておくと理解がしやすくなる。 例えば、中心文に対し、「なぜそういうことをするのか、その目的は」などと自問自答すると、 「ソフトウェアの設計の検証ができる。」、「ユーザーのフィードバックが得やすくなる。」、「プロジェクトのリスクと費用を軽減する。」などの文を見つけることができる。 また、「プロトタイピングにはどんな種類があるのか?」という質問には、 「反復型開発ではひとつ以上のプロトタイプが作られる。」などの文章が見つかる。 これらの詳細の文をマインドマップにして中心文の周辺に配置すると段落の構造がよくわかる。また、簡単な構造なら、マインドマップをわざわざ描かずに頭の中で理解するだけでもいい。 文章の要約のコツは、「中心文を発見しそれを主語と述語からなる判断を表す文にしておくこと。」、「その中心文を元にマインドマップを作るが、中心文と枝のつなぎに、疑問や質問を糊として使うこと。」のふたつだ。このコツに気をつけておけば、ほぼ機械的に要約をつくることができるようになる。
by tnomura9
| 2010-08-19 05:22
| 考えるということ
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