ベーシックインカムの話を10人にすると賛成してくれるのは一人か二人位だ。
後の8人は財源はどうするのかとか誰も働かなくなるのではないかとか懸念を示す。ベーシックインカムは所得の再配分なので、苦労して働いて得た所得を働きもしない人に分けるのは納得できない気がするだろうし、ベーシックインカムの機能がそれだけなら、現状の制度を変える必要はない。 しかし、ベーシックインカムは、働こうと思っても働くチャンスがない人に機会を与えるための重要な仕組みだと思われる。今年の高卒者の就職の内定率は30%台だという。不況とはいえ、あまりにミスマッチが大きすぎる。産業構造に何か本質的な変化が起きているのではないかという気がする。 さらに少子化と高齢化社会の問題がある。少子化の原因は子育ての費用がかかりすぎることが最も大きな理由だ。また、高齢化社会で増加する年金を誰が支えるのかという問題もある。これらのことから、戯画的に子育てと老人の介護で疲れ切った若い就労者というイメージが湧く。 ところが、一方で日本は国全体としては毎年500兆円もの所得が発生している。国全体としての富と個人の生活の豊かさの間にギャップが多すぎる。全体としては豊かなはずなのに定職が得られず、給料は上がらない。何かがシステム的におかしい。そうしてその不均衡を発生させているのが現行の社会制度であり、産業構造なのだ。 これらの矛盾の原因がどこにあるのか、経済の専門家ではない管理人には分からない。しかし、ベーシックインカム関係の資料を読むと、その制度の簡潔性と透明性が現在日本が直面している困難に解答を与えてくれるか、少なくとも違った視点から光を当ててくれるような気がする。 管理人は何が何でもベーシックインカムでなければならないと主張するつもりはないが、現在の日本の産業構造が、ベーシックインカムのような新しいシステムを適用しなければならないような変化を来しているのではないかと感じるのだ。ベーシックインカムを理想主義的なとっぴな考えだと切り捨てる前に、この制度のもつ意味と可能性について一考する必要があるのではないだろうか。
by tnomura9
| 2009-11-19 04:37
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