今度の金融危機は明らかに全世界が一斉に不動産投機に走ったためだ。インターネットの発達で情報は瞬時に全世界に伝達される。何か利益が発生しそうなところには全世界から資金が集まってしまう。このように、ある特定の分野に資金が集中する現象がなくならない限り、第2第3のバブル崩壊は免れない。
資金の集中がどうしていけないかというと、投資は先を予想して行われるものだが、未来のことを正確に予測する方法がないからだ。利益が発生するから資金が集中するのだが、その利益が突然損失に変化しないということを保証する方法はない。 言い換えると、損失は必ず発生するし、損失を予見することは不可能だ。ただ、利益から損失への振幅が小さければ、打撃は小さい。個々の投資家や企業については損失が発生してもそれが社会全体の富に比して小さければ、社会全体の景気の動向に寄与する部分は少なくなる。資金や生産手段の過度の集中は社会全体の安定性にとっては有害になる。 したがって、全世界的な独占禁止法の厳格化は、世界の経済を安定させるための必須の要件となる。 市場原理では敗者が退場するに従って、企業は巨大化する傾向にある。しかし、恐竜と一緒で体が巨大化しても脳まで巨大化することは難しい。リーマンブラザーズの失敗も経営者の独裁的な体制が大きな原因だった。個人の決断が企業全体の命運を決めてしまうというのは非常に危うい事態だ。 これも、企業の規模がそう大きくなければ、ひとつの企業が倒産しても別の企業がその肩代わりをするので、社会全体としての影響は少なくなる。 また、独占禁止法の厳格化とともに、小規模企業の開業支援も必要だ。ベンチャー企業1社に投資する金額で、自営業者の開業を数十件支援することができる。ベンチャー企業に投資するよりはるかに高い資金回収率を達成できるだろう。ソニーもナショナルも元々は零細企業だ。強い中小企業を育てる国こそが21世紀の加速された変動の時代に生き残れるだろう。
by tnomura9
| 2009-10-20 13:11
| 考えるということ
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