ベーシックインカムの問題点として挙げられるのが財源の問題だ。月8万円を一人当たりに支払うとすると年間100兆円の歳出が必要らしい。現在の国家予算が80兆円だから到底無理だと言われることが多い。しかし、実際は、特別会計で使途不明な200兆円ものお金が動いているし、ベーシックインカムで配布されるお金は支出ではなく、所得の再配分だ。そこで支出されたお金は市場を回って税金という形で再び国庫に帰っていく。また日本のGDPは500兆円だから、100兆円と言ってもその20%にすぎない。
また、ベーシックインカムで所得が得られるようになると、働く人が激減して産業に打撃を与えるのではないかという疑問も聞かれる。しかし、財産を持っていても働いている人は多いし、主婦のパートなどを見ても、収入のためはもちろんだが、持続的に就労している場合は、仕事仲間と合うためとか社会に参加したいという欲求の方が強いような気がする。 雇用する方も、雇用者の生活を支えるという重圧から開放されるので、賃金の設定も比較的少なくできるので世界との価格競争力も持つことができる。現在の制度では売上が上がろうと上がるまいと人件費にかかる支出が大きいので雇用をためらうが、十分な価格競争力を持った上で売上の中から税金を収めるということになればずいぶん経営が楽になる。結果的に雇用の機会も増えてくる。 「働かざるもの食うべからず」という言葉が当然の倫理のようにとられているが、聖書には「働くものがその報酬をうけるのは当然である」と書いてあるだけだ。どこにも働かないものは食べてはいけないなどとは書いてない。食べるために働くというのが倫理的に尊敬されるという社会はその社会のシステムが貧困なのだ。金持ちは食べるのに困らないのに必死に働いている。 ベーシックインカムの経済的な議論については、専門家が詳しく検討している。しかし、これがコンセンサスとして普及するためには、「働かざるもの食うべからず」という歪な倫理観を別の観点から検討してみる必要がある。
by tnomura9
| 2009-09-17 06:30
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